2007.01.12

第12講:華祥へ

17年近く前京都に引っ越してきて初めてすんだのが百万遍。かれこれ10年以上その周辺に住んだので、じゃあもう庭ですね、とよくいわれるのだがそうでもない。その当時から、好きな店には通いつめる、新しい店にはよほどのきっかけがないとまず行かない、という体質だったのもあるし、もう一つには、街はずれの学生街なのに案外店の入れ替わりが激しいという事情もあるのだ。17年前にはなかったような、小洒落た、味もいい店が増えるのはおおいに結構だが、気のいいおっちゃんがやっている小さい店が、学生がバイトで働く大規模のチェーン店にとって代わられるのは胸が痛む。学生の内輪で閉じてしまいそうな生活の中で、僕に「京都」を教えてくれたのは、ごはん屋のおっちゃん、おばちゃんたちだった。他所から来て、やっぱり他所から来た学生たちが働く店で飯を食い、酒を飲むのであれば、それは京都に住みながら京都に済んでいないようなものである。

Dvc00131今日行ったのは、僕が百万遍を離れたあとにできたお店。学生時代しょっちゅう利用した5円コピーが、気がついたらとても美味しい中華屋さんになっていたのである。小さいお店で、メニューも、ふつうの町の中華屋みたいに何でもありますというスタイルではなく、その分味はたしか。何といってもご主人は、僕が中華の師と(勝手に)仰ぐK御大の先輩にあたる方なのだから。今日いただいたのは担々麺。写真を撮らなかったのが今になって悔やまれぐらい美しい朱色のスープ。味ももちろん絶品で、担々麺党汁なし派からスープ派へ転向しようかと思うぐらいのコクの深さ。そしていつもながらのご主人の職人気質に心洗われ。ごちそうさまでした。

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2006.12.25

第11講:オ・タン・ペルデュへ

Dvc00126オ・タン・ペルデュは、岡崎は疎水のほとりに去年オープンした、ル・ベルクールのトレトゥール+パティシエである。先週の金曜日はここで昼ごはん。写真のランチボックスは、ワイン(または他の飲み物)までついて1,500円。ランチボックスというぐらいでもちろん持ち帰りもできるのだけど、この日はイートイン。左はサーモンのサラダ、右の容器の中に入っているのは、キッシュ・ロレーヌ、パテ・ド・カンパーニュ、ニンジンのサラダ、オリーヴ、そしてチーズが二種類。奥の箱に紙に包まれたサーモンのサラダとパンが二切れ入っていて、その上に右の容器がのって蓋になっているのである。この紙の箱がよくできていて、どうやら取っ手の部分を外してひらくとお皿のようにして使えるらしい。これを広げて、その上にこれだけのアイテムを並べたらさぞかし楽しい「お弁当」になるだろう。味のほうも、どれも冷めてもおいしくいただけるものだし、ちょっとずついろいろ食べることができるのは何よりの幸せ。ヴィネグレットの利いたサーモンのサラダもおいしいし、胡椒が粒ごと入ったパテ・ド・カンパーニュもいい。チーズまでついて、これじゃワイン一杯じゃ足りません(笑)

ちなみにこのオ・タン・ペルデュ、「オ」ですがマドレーヌもあります。ぜひとも紅茶に浸して失われた時を思いだしてください。

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2006.12.15

第10講:ガラム・マサラへ

Dvc00123左京区のカレー屋さんは、すでにこのシリーズで元田中の「DiDi」を紹介したが、ガラム・マサラもまた僕にとっては懐かしいお店である。名物の「おかあさん」がいらっしゃるのだ。友人に話を聞くと、「あんた髪の毛カレーに入るで、しばっとき!」と輪ゴムを渡されただとか、別皿のルーを一気にライスにかけようとしたら「あかん!、そんなんしたらまずなるやろ!」とおかあさんがとんできただとか、「怒られ」系の話をよく聞いたが、僕は不思議と怒られた覚えはなく、カレー自体の味が、良し悪しや好き嫌いはまったくべつにしてとても複雑だと行くたびに思っていたことだけをよく覚えている。以前はもう少し奥まったところにあったように思うのだが、今は北大路白川の交差点のすぐそば。久しぶりに行ってみると、果たしておかあさんはご健在である。「おにいさんな、昔からのやったらこれやけどチキンはあかん売り切れてしもてるしな、ん?、おにいさん初めてか?、あ、そか、昔のときか、昔からのも健在やけどな、これ見て、これ……」と早口でまくし立てられ勧められたカレーは……

Dvc00122そう、おかあさんが勧めてくれたカレーはこのキーマカレー。しばらくするとカレーをもっておかあさんが戻ってきた。「これはな、まず二口、何もせんとカレーだけで食べてパンチのあるのんを味わって。それからな、中に卵が入ってるからそれを割って食べたらもう一回おいしい。二つの味が楽しめるようになってるからな。」というわけで、言われたとおりに。パンチがあるというのはほんとうにパンチがあるのだ。胡椒系と唐辛子系の二つの辛さも「パンチ」だし、何よりその濃厚な味自体が「パンチ」である。辛さや旨みをトマトの酸味やチャツネの甘味がしっかりと支えるという重厚なキーマカレー。けっこう辛いのでお子様はアイスクリームをなめながらどうぞ(笑)。

いやいや、おかあさんがご健在で何より。帰り際には、「もう歳やけどな、まだ元気やからもう少しがんばるしおにいさんまた来てな。近くよったら来てな。」 いやいや、もちろん行きますとも。しかし、「さっきも若い人にな気ぃ悪いこといったら怒って帰ってしまわはった」って、おかあさん、いいんですか!

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2006.12.01

第9講:割烹 点へ

Dvc00120先日久しぶりにパテ・ド・カンパーニュを作ったのだが、何となくイマイチのデキ。そこで今週の現代思想ランチは、僕にとってパテ・ド・カンパーニュの出発点になった出町柳のビストロへ、と思ったのだが、行ってみると予約で満席との貼り紙。久しぶりに行く店が入れないぐらい流行っているというのは、嬉しいような悲しいような。そこで、近くの割烹に行ってみた。食道楽の悪友Bが勧める店だから間違いはなかろう。

Dvc00119頼んだのは造り定、1,300円。お造りは二種、これに小鉢と「じゃこめし」、赤だし、香の物がつく。造りはよこわ(だと思う)がおいしい。小鉢の惣菜も、真っ白に薄味に炊きあげられた小芋、箸でつまむとじわっとだしの滲みでるだし巻きなど、一品一品がとても丁寧に作られていて、いいお店だなとしみじみ。ちりめん山椒ののったごはんも、山椒の利いた赤だしもとてもおいしくあっという間に平らげた。もともと僕は米喰らいなのでこんなおいしいおかずばっかりだとごはん一膳だとぜんぜん足りないのだよね(笑)。

お腹もいっぱいになり今日はバスで帰宅。移動にしょっちゅうタクシーを使うという話をすると、人にはきまって贅沢といわれるが、いつ来るかもいつ着くかも分からない京都のバスに乗るほうが、僕にとってやよほど「贅沢」である。そんなわけで、昼の一時は贅沢三昧。45分もドライブさせてもらって220円は安いよ(笑)。

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2006.11.25

第8講:カミ家珈琲へ

Dvc00106カミ家珈琲は創業50年近い出町柳の喫茶店。僕にとっては、やっぱりここも「昔はよく通った」系のお店。珈琲もさることながら、ここのカレーが大好きだった。金曜日のお仕事、二週間休みが続いたあとの先週、このカレーを思いだしてじつはここに来てみたのだが何と臨時休業。それで今週二度目のチャレンジというわけである。

Dvc00107カレーセット(珈琲が付いてくる)を頼むと、ごはんが炊きあがるまでちょっとだけお待ちいただけますか、とのこと。あたりを見まわせばそれもそのはず、ほとんどのお客さんがカレーを食べている。そうしてでてきたのがこのカレー、その名も「ジャワカレー」である。ルーはわりとさらっとした感じで、けっして喫茶店や家のカレーの範疇を逸脱しないぎりぎりのラインでスパイシーなのが何とも心憎い。ぺろりと平らげ、食後の珈琲を待つ。

Dvc00108僕の記憶では、胃にもたれないよう工夫した、というのがこの珈琲のウリである。今でこそ、「本場の味」が「本物」と認識され尊ばれる時代だが、戦後間もないころにスタートしたお店だから、先代はさぞ日本人に受けいれられる珈琲とは、という問題に腐心されたのに違いない。僕はその「もたれない」ポイントは心地のよい酸味にあるんじゃないかと思っていたのだが、久しぶりに飲むカミ家の珈琲はちょっと違った味がした。家に帰ってから知ったのだが、いつも入り口のところでコーヒーの焙煎をしていらっしゃったマスターは一昨年になくなられたとのことだった。いかにも職人気質といった風で気難しそうな方だったから、一度もお話しさせてもらうことがなかった。いまとなってはそれが悔やまれるばかりである。

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2006.11.01

第6講:食堂へ

Dvc00087_m先週の金曜日のこと。今度こそは前回から行けずじまいの例の和食やさんにと思っていたのだが、当地で後輩クンたちと打ち合わせをすることになりやむをえず──と書いたら失礼だけど──食堂に。面白かったのは紫米のごはん。普通の意味でおいしいとは思わないが、食感に粘りが出ていて面白い。おかずは選択肢が案外少なくて困ってしまったのだが、結局ピリ辛唐揚げに。テラスに持ちだしいただきます。この金曜日のお仕事、今週から二回ほどお休みです。

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2006.10.20

第5講:SOBAダイニング もうやんへ

Dvc00076さて、今回はまずは先週行きそびれた和食のお店に行ってみたのだが、今度は満席。昔妹がこの辺りに住んでいたのだが、そういえば引っ越しの後で行ったそば屋がわりとおいしかったっけと思いたち、この「もうやん」へ。写真の石臼十割もりをたのむ。十割蕎麦自体はけっして新しいものではないのだろうが、こうもあちこちで十割十割といわれるようになったのは最近のことではないかと思う。十割が流行りだしたころは十割派のおっさんたちと反対派のおっさんたちがいて、十割派のおっさんたちは、それが如何に蕎麦らしい蕎麦か、そしてそれを上手に打つのが如何に難しいことかを説き、これに対して反対派のおっさんたちは、つなぎを使うのは故あってのこと、ぜんぶ蕎麦粉増やせばその分旨いなどということはない、むしろ二八ぐらいが理想の加減だと力説していた。僕自信は蕎麦にはそれほどのこだわりはなく、ふつうに美味ければそれで満足ぐらいのものなのだが、今日は蕎麦にするかと入った店に十割蕎麦があればついつい頼んでしまうというわけである。さて、その十割蕎麦。なるほど意識して食べてみると、蕎麦の香りが立っているのは心地よいが、つるっとした食感がたまらぬという人にはたしかにつなぎの入った蕎麦のほうが嬉しいのかもしれない。個人的にはせっかくの本山葵でもつゆに溶かすのを憚れるような蕎麦粉の香りが捨てがたいと思った。つゆは、他所では醤油が立っていて甘味も気になると書かれていたが、醤油も甘味もむしろ控えめとの印象を受けた。むしろ鰹の風味のほうが目だって感じられる。蕎麦湯の段まで来ると、目の前で鰹を燻しているかのような強烈な風味だ。少しだけ蕎麦が面白くなってきた。

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2006.10.14

第4講:グリル宝へ

P1040718 先週、今週と、『生のものと火を通したもの』なる著作もあるベルギー生まれのユダヤ系フランス人の話をした。生のものと火を通したもの、それを両方食べられるといえば和食、和食といえば……などと考えていたのだが、今日は時間的にちょっと間に合いそうもなかったので岩倉のこのお店へ。友人に岩倉のとある高校の卒業生がたくさんいるのだが、その中の何人かがこの店のことをとても懐かしそうに話してくれたのを覚えていたのだ。月並みないい方をすれば、高校時代の思いでの店というわけである。2Fに上がりチキンカツを頼んだ。トマトソースとオニオンソースを選べるのだそうだ。僕はオニオンソースを選んだ。おろしぽん酢にも近いオニオンソースでチキンカツを食べて納得。家のごはんのような味なのだ。高校生にはたまらないだろう。その後話を聞けば、昔はもっと野菜がごーっとのっていたのだそうである。帰り道、そのとある高校の前を通ると、女子学生はフリスビーを、男子学生たちは槍投げにいそしんでいた。フリスビーはのどかだが、男子学生たちは届くはずもないとはいえ道に向かって槍を投げていた。相変わらずとんでもない学校である。

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第3講:れあたへ

Dvc00072さて、まずは先週の話から。金曜日の勤務先Sには二つ食堂がある。食堂にも行ってみなくてはとちょうど思っていたところ、Sに毎日お勤めのK氏からランチのお誘い。僕と同じ時間に別の部屋で仕事をしておられるK氏のお知り合いの方と三人で、食堂の一つ、「れあた」へ。「日替わり」も魅力的なのだが、せっかくたくさんあるメニュー、迷いに迷って生姜焼き定食。写真はちょっとピントがぼけていて見にくいが、なかなかのヴォリューム。とにかく分厚いのだ。会話を楽しみながらもむしゃむしゃ。あっという間に満腹。もう一つの食堂にも行かねば。

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2006.09.29

DiDi[ディディ]へ

昨日の深夜に先週の金曜日の話をここで書いたが、あの夢のようなランチから早一週間、今朝も左京区へ出勤であった。「お客さん」のある仕事なのだが、前情報ではお客さんは百人前後という話。ところが先週初仕事に出かけてみると実際には5、60人。それでももともと緊張するたちなので、最初の数分は手を震わせ、声を震わせ仕事をしたのだが、今日行ってみると先週の倍ぐらい「お客さん」がいるではないか。今週は準備も万全、二回目だからまともに仕事ができるだろうと高を括っていたのに、もう一度一週目をやらされたような気分。それでもお客さんが多いと気持ちも入る。しかし、最初は快調にとばしていたものの途中で失速。慣れないこの仕事の難しさを痛感した。

Dvc00071_m何はともあれ今週も無事仕事が終わったので左京区ランチ。今回はカレー屋のDiDiである。以前にも書いたことがあるだろうか、昔この店のすぐ裏に六年ほど住んでいたから、おそらくは京都で一番たくさんいったことのあるカレー屋である。野菜やチキンの定番カレーもおいしいが、日替わりもねらい目。今日は日替わりのチキンコルマを頂いた。酸味はヨーグルトだろうか、旨味とほどよいバランスでとても心地よい。追加50円でライスは玄米にしてもらえるから、僕はいつも玄米で頂く。サラダも付いてしめて1030円。安くはないが、大好きなお店である。

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