2008.07.17

キムチ二題

P11203486月の終わり頃、いつもうちに遊びに来てくれるKなみさんから連絡をもらった。聞けばご主人が一週間ほど留守にされるとか。じゃあうちにも遊びに来てよということになったのだけど、Kなみさんのリクエストは「辛い中華」。で、Kなみさんがおみやげにもってきてくれたのが、写真のキムチ。趣旨に合っているようで微妙に合致していないセレクションもKなみさんらしいが、食べてみるとほんとにおいしいところがますますKなみさんらしい。Kなみさんは、僕もかつて住んでいた左京区にお住まいなのだが、左京区には韓国のおばちゃんがやっている韓国食材屋が多い。そんなお店の一軒で見つけてきてくれたのだとか。奥の白菜キムチは見事なまでに鮮やかな唐辛子の赤。手前は、Kなみさんが「ちゃんと汁まで飲まなあかんで!」と注意(?)された水キムチ。水キムチっていつも思うのだが、漬物というより野菜料理、もっと平たくいえばサラダだよね。サラダの語源はsaltと同じ、本来は「塩漬けにした」の意と聞くが、まさにその意味での「サラダ」。

P1120485もうひとつだけキムチの話題。キムチはけっこう好きなので、できたら冷蔵庫の常備したいと思っているのだが、いつでも手に入りリーズナブルな値段でなおかつおいしいキムチってなかなかないので、いまだにいつもいろんなキムチを試している。そんななかで最近気に入ってるのがこれ。その名も(?)「キムチハウス」というところの「花ちゃんのキムチ」。辛味はほどほどだがわりと熟成が進んでいることが多く酸味が強いから、僕の好み。小泉センセも最近は調味液に漬けこんだだけの「偽物」が多いと嘆いていらっしゃったが、これってけっこう「本物」(って韓国に行ったことなんてないのだが)だよななどと思っていつつたまに買っている。ところがこの間買ったまま封を切らず冷蔵庫においていたこのキムチを二、三日前に見てみると、賞味期限はまだ三日先だというのにごらんのとおり袋がパンパンに。相当醗酵が進んでいるようで舌がぴりぴりするくらいの酸味で、僕は一人で大喜び(笑)。いやー、本物認定ということで、今日からこのキムチ、うちの「デア・キムチ」と呼ぶことにします。

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2007.09.30

唐辛子を醸そう

P1080414さて、先日の唐辛子の後日談。そのとき買ったハラペーニョは、料理に使ったし、なんといっても辛さにたいする感覚が麻痺しているI井と吉田(仮)さんがアテがわりにぼりぼり食べてくれたから(I井にいたってはチリビールならぬ「ハラペーニョ・ビール」を作って飲んでいた)、あっという間になくなったのだけれど、後日同じスーパーに行くと、なんと今度はハバネロがある。おまけに、アヒ・アマリージョという初めて名を聞く唐辛子まであるではないか。それより気になったのは、前からあるハラペーニョがちっとも売れてなさそうなこと。これってもしかして最初に入荷しものがそのまま残ってるんじゃないの?、これが売れないと今回限りで打ち切り?、などと一人で妄想しているうちに、オレが買わねばという気分になり、勢い唐辛子を山盛り購入。

P1080415結局、果肉も分厚く辛さも手頃なハラペーニョとアヒ・アマリージョは、前回同様塩水に漬けて醗酵させることに。前回塩水に漬けた唐辛子は蔕まであわせても2cm程度だったのだが、これぐらいのサイズになるとどうなるのか見物。これぐらい大きくなると、塩水に漬かってるこいつらの中身は空っぽってのがどうも不思議で。中の空気は何も変化しないままで発酵が進むのかなあ。

P1080447P1080442ハバネロは赤とオレンジがあったんだけど、とりあえず赤を買ってみた。ちょっとだけかじってみるけど、ゆうに20万スコヴィルを超える唐辛子の古豪だけあってさすがに辛い。形状的にもこれは塩水漬け→醗酵って感じじゃないよなあと考えていたとき、いいことを思いついた。そうだ、タバスコ作ろう!(笑) で、早速いつもの永井良史さんの『とことんおいしい自家製生活』を見ながら作業開始。永井さんのレシピは感想唐辛子を水で戻して使うことを前提にしている(これは永井さんらしい配慮かと)ので、以下は僕がどうやったかの説明。左の写真は、ハバネロを二つに割って種をとったところ。これで約2パック強ぐらいの分量。この時点で重さが88g。それをとりあえずロボクープにかけたのが右の写真。

P1080449P1080453それをすり鉢でせっせと擂ったのが左の写真。これを裏漉しし唐辛子の重量の3%の塩を加え(右の写真)、さらに唐辛子の重量の半量の酢を加えたら、あとは瓶に詰めて熟成。この酢なのだが、永井さんのレシピには穀物酢、登録商標「タバスコ」を生産するマキルヘニー社のオフィシャル・サイトには「high-grain vinegar」とある。「high-grain vinegar」でググっても、タバスコ関係のサイトしか出てこないので、これがいったいどういうヴィネガーなのかはよくわからないままなのだが、grainというからにはやっぱり穀物酢なのだろう。ほんとは盛ると・ヴィネガーなんかがあったらいいんだろうなあと思ったけど、結局ミツカンの穀物酢とマイユのシェリー・ヴィネガーを1:2で使ってみた。どうなることやら。

P1080456できあがりはこんな感じ。最後に注意事項。
1. 作業を始める前に必ずトイレに行きましょう。作業中にトイレに行く羽目になると、下半身がとんでもないことになります。
2. 敏感肌の人は、家族、友人など鈍感肌の人にやってもらいましょう。鈍感肌の人もあればビニール手袋などを着用のこと。
3. 一番怖いのはすり鉢で擂る工程。勢い余ってペースト状の唐辛子を飛ばさないように。眼鏡をもっている人は眼鏡をかけて作業しましょう。
4. 裏漉ししてきれいになったペーストを見るとついついなめてみたくなるのが人情ですが、無謀な味見は絶対にやめましょう。
 以上を守り、楽しいタバスコ・ライフを!

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2007.08.19

味噌の切り返し

P1080077味噌を仕込んでから3ヶ月弱、そろそろ切り返しの時期。切り返しというのは、熟成中の味噌をかき混ぜ中にもう一度酸素を送りこむ操作。コウジカビは好気性細菌だから、酸素があった方ががんばって醸してくれるわけだ。ところがこの切り返し、その時期と回数には諸説あるそうで、仕込みから一、二ヶ月に一度だけといわれることも、四ヶ月経ったら一度、その後もある程度定期的に、といわれることも。じつは一ヶ月ほど前に一度のぞいてみたのだが、そのとき少しだけだがカビがついていたので、それが気になったこともあり、もう一つには、そのときとてもいいにおいがしていたのでどうしても味見がしてみたくなったこともあり、もしかしたら少し早いのかもとは思いつつも、この時期に切り返しをすることにした。満三ヶ月を迎えようというオレ味噌は写真のような感じ。左側にくぼみがあるのは試食の跡。なめてみると、まだまだ塩気が立っていて荒々しい感じはするものの、もう立派な味噌である。以前にも紹介した『とことんおいしい自家製生活』の永井良史さんは、早く仕込んでも遅く仕込んでも食べられるのは土用の丑を過ぎた頃から、と書いていらっしゃるが、それもなるほどという感じ。味噌汁にしてみてもなかなかいける。これが夏を乗り切ってもう少し熟成してくれたらいうことはない。云うところの「手前味噌」のできあがりである。もう一つ、秋の食卓の楽しみが増えました。

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2007.06.13

家で醸そう・納豆編

P1070173もうだいぶ前のことだが、味噌を仕込んだついでに納豆も仕込んでみた。これもまた『とことんおいしい自家製生活。』を参考にしながら。市販の納豆をお湯の中でかき混ぜて納豆菌をとり、それをゆであがった大豆にかけて24時間醗酵させる。ところが温度管理が難しい。熱に強い納豆菌にとっての適温は40℃前後。他の菌にとっては不利なこの温度を保つことによって、納豆菌をセレクションするわけだ。豆麹などを仕込むときに、温度が上がりすぎると豆が麹にならずに納豆になってしまうのと同じ原理である。『自家製生活。』には、魔法瓶に50℃のお湯を入れ、仕切りをしてその上に大豆をのせるという方法が紹介されていたが、手頃な容器がなかったので、大きめの発泡スチロールの容器にたっぷりと50℃のお湯を張り、水に浸からないようバットに広げた大豆をおいてみた。これでは温度がすぐに下がってしまったのだろうか、24時間経っても納豆度はイマイチ。かき混ぜると粘りはたしかに出るのだが、市販の納豆などに比べたらぜんぜん弱いし、おまけにちょっとだけ白かびのにおい(悪いかびじゃなくって、白かびのチーズみたいな香り)がする。もう一度チャレンジしてみたいのだが、うーん、なんかいい方法ないかな。あと、ふつうの大豆を使うとどう考えても納豆としては超大粒なんだけど……。

味噌に続き今回も永井良史さんのこの本が参考書。お世話になってます。

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2007.06.02

味噌を仕込んでみた

去年あたりから、いつか味噌をやってみたいなと思っていた。今年こそと思っていた二月の頃、加入してすぐの生協のカタログを見ていたら味噌キット発見。それで早速注文したはいいが、なかなか仕込む時間がない。そうこうしているうちに五月も終わり、これは大豆も何かに転用かな、などと考えていた矢先に、あずぶぅが鹿児島のご実家では最近味噌を仕込んだところだと教えてくれた。それならばやってみるかということで、五月も終わりの味噌造り。

P1070104P1070102まずは大豆を一晩水に浸け、3〜4倍量の水で3〜4時間煮る。乾燥した状態ではほぼ球形の大豆が、水を吸うと大豆らしい形に戻るのが面白い。今回の大豆は生協で買った北海道産の大豆1.2kg。水を吸うと相当膨れるので(左の写真は約半量の大豆が水を吸いきった状態)、水に浸すときはボウル三つに分けて、茹でるのも大きな鍋二つに分けて(いま考えれば大きな鍋二つで水に浸せばよかったのだが)。たいていの本には、「人差し指と親指でつまんでつぶれるぐらいの固さ」が煮加減の目安として書かれているが、今回参考にさえて頂いた、味噌造りキットも発売している永平寺御用達の福井の味噌屋さん、米五のホームページを見ると、秤の上でゆでた大豆をつぶすときの荷重が500g、という具体的な記述もあった。茹であがった大豆は熱いうちにつぶす。袋に入れて瓶などで叩く、ポテト・マッシャーでつぶす、などいろいろな方法があるようだが、ミキサーでもいいとのことなので、5〜6回に分けてロボクープにかけた。それが右の写真。この時点で体積約4l。

P1070156うちはちょっとした事情で別の日にやったのだが、本来は大豆を茹でている間に塩切り麹を作る。ようは米麹に塩を合わせるだけなのだが、塩「切り」というぐらいだから、寿司飯を作るときに米に合わせ酢を切り混ぜるように何となくバットでやってみた。数日後ぜんぜん違うものに塩を混ぜるときにボウルで同じことをやったのだが、やはりある程度の量ずつバットでやる方が混ぜやすいように思う。麹は冷凍で届いたもの1.6kg。

P1070160で、つぶした大豆と塩切り麹を合わせ、大豆の茹で汁(種水)で伸ばして容器に詰める。合わせたペーストを丸めて(味噌玉)、樽に投げつける例の作業である。パチンとぶつけるとビチャっという音とともに見事に下の層と一体化するのが面白い。大豆1.2kg、米麹1.6kgで10lのプラスチック製の樽(高さは30cm弱)のほぼ半量。これだけのものを均等に混ぜなくてはいけないから、もう一つ同じサイズの樽を用意しておくといいと思う。この表面に塩をしてラップで密閉して落としぶたを乗せ、軽く(1.5kgほど)重しをする。これにてとりあえずは作業終了。

今回思ったのは味噌ってほんと贅沢な調味料だなということ。大豆を炊いているとぷーんと甘い香りが漂ってくる。麹を混ぜていても甘酒のようなやはり甘い香りが。ちょっと煮炊きしただけでも十分おいしい大豆、米を、麹によって分解しその旨味を十二分に引き出したものが味噌、それを今回実感した。味噌を買うのではなくあえて自分のうちで作るにはそれなりの動機が必要だと思っていたのだが、これを実感できただけでも十分味噌造りを試した甲斐があったかと。秋のできあがりが楽しみである。

以前からちょこちょこお世話になっていた「男の趣肴」HPの永井良史さんがこんな本を出してはります。今回もだいぶ参考にさせて頂きました。砂糖から「自家製」でやっちゃおうという意欲的(?)な本。永井氏の研究熱心さにはただただ頭が下がるばかりです。

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2007.03.08

塩汁[しょっつる]のこと

P1060113塩汁(しょっつる、塩魚汁とも)は日本の伝統的魚醬、すなわち魚を塩漬けにして醗酵させて作った調味料の一つ。各地に伝わる魚醬のうち、秋田のものが塩汁と呼ばれている。魚醬といったら、今の僕たちにとってはタイのナンプラー(น้ำปลา)やヴェトナムのニョクマム(nước mắm)の方が馴染みがあるかもしれないが、ナンプラーやニョクマムに比べると色も薄く、香りも穏やか。もちろん似ているのだが、両方を嘗めて味を比べたらぜんぜん別物、といったら伝わるだろうか。ナンプラーと塩汁を嘗めてどちらが日本の魚醬かあててごらんといわれたら、ほとんどの人が塩汁を選ぶのではないかと思う。たんなるイメージの問題だが、塩汁は寒い国の、ナンプラーは暑い国の魚醬という気がする。

P1060027塩汁はかつてはハタハタをふんだんに使って作られていたが、一時禁漁になるほどハタハタの漁獲量が落ちこみ、現在では他の魚も使うのだそうだ。今回お世話になった仙波善治商店の「塩魚汁」には、原料として「魚」としか書かれていない。そんなわけで、なぜ塩汁かといえば、塩汁といえば秋田、秋田といえばハタハタ(県の魚にもなっている)、そう、先日のハタハタをどうしようかと考えていて、塩汁のことを思いだしたというわけだ。じつは写真の奥に写っている土鍋も、思いかえせば秋田出身のGからもらったもの。Gが京都にいた四年間、この鍋で塩汁鍋やらきりたんぽ鍋を何度もご馳走になった。京都を離れるGから譲り受けた土鍋なのだ。とはいえ、Gが食べさせてくれた塩汁鍋をあまりはっきり思いだすこともできず、具は写真のような感じで。塩汁のだしはちょっとしょっぱいのだが、鍋をしているうちにそこにどんどん旨味が加わっていく。身離れのいいハタハタの身をつつくのも楽しいが、ハタハタの旨味を吸った野菜や豆腐もまた旨い(鍋は何でもそうだけど)。最後はそのだしで雑炊。大満足。

この本はずいぶんと前からうちの本棚にあったのだが、いつもちらっと眺めてはすぐに本棚にしまわれていたもの。今回はこの本のおかげで塩汁のことを思いだしたし、ハタハタは「馬の息をかければ食べられる」(ぐらいだから煮すぎてはいけない)とのアドヴァイスももらった。おまけに、塩漬けにしたハタハタを、麹、千切りの大根、人参、布海苔、調味料などと合わせた米といっしょに押した、ハタハタ寿司なるなれ鮨まで知ることができた。一冊で日本全国津々浦々、各地の料理を食べた気分になれる、アームチェア・グルマンにはお薦めの一冊。

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2007.02.18

すぐきのこと

途中からだいぶ失速気味だった醸しコーナー、天使突抜醗酵学科ですが、今年も細々ながら書いていこうと思っています。どうぞよろしく。

昨年の12月、札幌でスープカレーを頂いたときのこと、お店に「ロハスピープルのための快適生活マガジン」を謳った某誌がおいてあったので読んでみた。その中に、京都のとある漬物屋さんへのインタヴューが掲載されていた。話題はすぐき。痛快だったのは、そこでご主人夫婦が、「若いもんがにわかにやってできるような世界とは違うゆうことですわ」と言い放っていること。京都を知る人にとっては、いかにも京都、なこのコメント、もちろんこれを発したご主人の心中までは察しかねるが、読みようによっては「若いもん」とはインタヴュアー氏を代表とする「ロハスピープル」のこととも読めなくもない。僕たちの世代は、例えばすぐきを紹介するときに、めっちゃ手間かかるねん、まあゆったらスローフードっちゅうやつやな、などと、すぐきをスローフードとして再定義したいと思うかもしれない。しかしすぐきは、うちは関係あらしまへん、と他所を向いてしまうのかもしれない。

「酸茎」とも書くすぐきは、蕪の一種であるすぐき菜を菜っぱといっしょに丸ごと漬けた京都の伝統漬物。僕にとっては京都に来て出会えてよかったと思うもののひとつ。人間が加えるのは塩だけで、あとは乳酸菌クンたちの働きで立派なすぐきが漬けあがる。とてもおいしい漬け物だが、少なくとも数年前までは、京都以外ではそれほどメジャーではなかったように思う。江戸時代にはすぐき菜の産地、上賀茂から種の持ち出しが禁じられていたとも。こんなすぐきを一躍全国区へと押しあげたのが、いわゆる「ラブレ乳酸菌」の発見である。1993年、京都府立医科大学の名教授でありルイ・パストゥール医学研究センターの創立者である岸田綱太郎が、インターフェロン産生能などを高める働きをもつとされる、通称ラブレ乳酸菌、学名Lactobacillus brevis subspecies coagulansをすぐきから単離したのである。その後この「ラブレ乳酸菌」を錠剤にしたサプリメントなどが発売されたり、西利がラブレ乳酸菌を使用した漬物を販売したりと、健康ブームという追い風に押され、ラブレ乳酸菌とすぐきの名はあっという間に全国にひろがった。余談ながら、ラブレが発見された研究所というのは僕が京都で初めて住んだ家のすぐ向かいであり、行きつけのバーのすぐ南。93年っていや、まだすぐそばに住んでたじゃないか、ということを今回初めて知った。

P1050466P1050475写真のすぐきは、今年の正月にお世話になっている方にお送りしたり、僕の実家に持ち帰ったもの。錦の高倉屋さんのもの。丸すぐきの中でもちょっと大きめで、おそらく1kg前後あったんじゃないだろうか。高倉屋さんのはこのときが初めてだったのだが、酸味だけではなく微かな苦みがあり、いうなれば大人のすぐきといった感じ。高倉屋さんのホームページにも書かれているが、身のところは分厚く切って食べるのが美味い。蕪とも大根とも違う食感、すぐき独特の酸味が満喫できる。葉のほうは細かく刻んでちょっと醤油をたらして。温かいごはんといっしょに頂くのもいいし、お茶漬けなんかにしてもたまらないだろう。刻みすぐきしか知らない人には、ぜひとも一度、丸すぐきを試してもらいたい。好き嫌いはべつにして、これはたしかに他の漬物とは一味違うときっとわかってもらえるのではないだろうか。

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2006.12.13

納豆再訪

納豆の話は、このコーナーでもこれまでさんざん書いてきたがもう少しだけ。

P1040865まずは、小泉センセイの本を見て自分のところで作っていた乾燥納豆。だいぶ前のことだが、家人が既製品を見つけてきた。茨城県のとちぎや納豆店の「ほし納豆」である。小泉センセイのレシピとは違い大葉は入らないので(それにもちろんもとの納豆だって違うのだからあたりまえだが)だいぶニュアンスが違うのだが、なるほど売り物だけあって、何というのだろう、乾燥する間に角がささくれ立ったりすることがないようで、そのままで食べても違和感がない。家人は嬉しそうにずいぶんとぼりぼり食べていたが、僕はやっぱりごはんと炊きこむのが好きかな。

P1040261P1040265もう一つは、「東京の納豆売り少年」なる納豆。東京は東村山の保谷納豆の製品。何でも、社長が納豆のかご売りをしていたときの納豆の味を再現したのだとか。「再現」になっているかはともかく、つるっとジューシーな感じはむしろ今日日ウケそうな納豆ではないかと。化学調味料、保存料無添加にこだわるつもりはないが、納豆の場合それが本来的かと。醗酵によってアミノ酸がでて他の菌が生息しにくくなっているのに、なぜ化調や保存料を足すのか、と。つぶつぶちゅるちゅるの納豆がお好きな方にはおすすめです。

P1050062P1050066そして最後は!、またもや我らが吉田(仮)さんの超強力お土産シリーズ。今回は青森県下北半島は野辺地町から、「長寿の友 野辺地納豆」。「長寿の友」にも、:-) :-) :-) ぐらいだけど、中を見るともっとすごいことが書いてある。昔からよいとされてきた納豆の包装は「藁や経木」だが、これらには「各種の問題もありまして」今では見られないのだという。ううむ、「各種の問題」って(笑)。それはともかく、パッケージ表の「やわらかで風味のよい」は、ほんとうにそのとおり。上に紹介した少年納豆とはそれこそ対極をなす納豆で、一粒一粒がじつに柔らかくて食べ心地よいのだ。たまに食べるならぷりぷりの納豆もおいしいが、毎日食べるならこんな納豆かしら、などと考えてみる。吉田(仮)さん、ごちそうさま!

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2006.11.11

へしこのこと

この間の月曜日は某会合のあと会食。最後のごはんものでも頂いてしめようという話になった。お茶漬けは何があるのかと訊ねると、へしこのお茶漬けがあるというではないか。へしこというのは、若狭から北陸にかけての日本海側で作られる鯖の糠漬けのことである。僕の隣の席はいつもうちに遊びに来てくださる食いしん坊のI+K夫妻。一同激しく反応し、三人そろってへしこ茶漬けを注文。われわれの圧倒的支持を目の当たりにして、ほかの人たちもそれ以外のごはんものを頼むことができなかったのか、こちらのテーブルは全員がへしこ茶漬け(笑)。

Heshikoそのへしこ茶漬けがとてもおいしかったのである。おいしかったら家でも食べたくなるのが人情。うちには本来の鯖のへしこもあれば、河豚の子の糠漬け、鰯のへしこだってある。いきおい魚系糠漬け三種盛茶漬けに。手前左が河豚の子、右が鰯、海苔をのせた写真では隠れてしまっているが、奥にあるのが鯖である。先日のお店に倣い、お茶漬けではなく鰹だし。熱々のだしをかけると、薄く切ったへしこがちゅるちゅるっと丸くなる。へしこの旨みと塩気がだし全体にひろがるのがたまらなく旨いのだ。へしこもいいが、河豚の子も素晴らしい。だしの中でほぐしてちょっとふやけたごはんといっしょにすするともう最高である。

羽釜で炊いたごはんをおひつに移すようになってからは、ほとんど炊いたごはんをきれいにぜんぶ食べきっていたのだが、この日お茶漬けにしたのは前日、ついついおひつの中に残してしまったごはん。おひつの中だと、なんていうんだろう。ちょうどほどよい水加減のおひやになることを最近発見した。お茶漬けはおひやが一番、などとよく言うが、きっと昔の人はおひつの中でおひやになったごはんのことをいっていたんだろうなあと思う。

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2006.10.30

腐乳[ふうるう]のこと

P1040766ついに頂いてしまいました……中国が誇る数多い発酵食品の一、腐乳を。一言でいえば、豆腐を麹菌で発酵させたもの。豆腐餻に似た……とも形容されるが、むしろ腐乳こそが豆腐餻の原型なのだそうだ。ラベルの「冷蔵不要」の文字が怪しい。これを見ただけで冷蔵したくなる(笑)。じっさい、ふたをひねるとブシュっとすごい音がした。においをかいでみると、米のとき汁がいってしまったような香り。微妙といえばいえないこともないが、くせの強いチーズに感じるような鼻を刺すようなニュアンスはない。

P1040770小泉武夫先生によれば、中華粥によく合うとのこと、それで、これを頂いてからどれだけかの間、食べるときは中華粥で!、とずっと思ってきた。ようやく月が満ち、中華粥を。これまで中華粥らしきものは何度か炊いてみたことはあるが、一番最近買った参考書によれば、体積にして米の30倍の水で4時間ほどかけて炊くのが正しい中華粥なのだそうだ。そういえば漫画『沈夫人の料理人』でも粥はずいぶんと長いこと時間をかけて炊かれていたなあと思い、「四時間粥」に挑戦。三分づき(だからほとんど玄米)の米をだいぶ長い間水に浸けておいたこともあり、きれいに、つまり花のように開いてくれた。この粥と一緒に腐乳を。これがいける! ついついチーズを連想しがちだがやはり大豆食品、米とのこの相性にはびっくり。塩加減もちょうどよく、お粥が進むすすむ。むしろ逆にこの組み合わせを知ってしまうと、腐乳を他のものといただく、というのはちょっと考えにくいかも。今のところは、お粥には腐乳がいちばん、腐乳にもお粥がいちばん、という感じ。

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