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2007.02.18

すぐきのこと

途中からだいぶ失速気味だった醸しコーナー、天使突抜醗酵学科ですが、今年も細々ながら書いていこうと思っています。どうぞよろしく。

昨年の12月、札幌でスープカレーを頂いたときのこと、お店に「ロハスピープルのための快適生活マガジン」を謳った某誌がおいてあったので読んでみた。その中に、京都のとある漬物屋さんへのインタヴューが掲載されていた。話題はすぐき。痛快だったのは、そこでご主人夫婦が、「若いもんがにわかにやってできるような世界とは違うゆうことですわ」と言い放っていること。京都を知る人にとっては、いかにも京都、なこのコメント、もちろんこれを発したご主人の心中までは察しかねるが、読みようによっては「若いもん」とはインタヴュアー氏を代表とする「ロハスピープル」のこととも読めなくもない。僕たちの世代は、例えばすぐきを紹介するときに、めっちゃ手間かかるねん、まあゆったらスローフードっちゅうやつやな、などと、すぐきをスローフードとして再定義したいと思うかもしれない。しかしすぐきは、うちは関係あらしまへん、と他所を向いてしまうのかもしれない。

「酸茎」とも書くすぐきは、蕪の一種であるすぐき菜を菜っぱといっしょに丸ごと漬けた京都の伝統漬物。僕にとっては京都に来て出会えてよかったと思うもののひとつ。人間が加えるのは塩だけで、あとは乳酸菌クンたちの働きで立派なすぐきが漬けあがる。とてもおいしい漬け物だが、少なくとも数年前までは、京都以外ではそれほどメジャーではなかったように思う。江戸時代にはすぐき菜の産地、上賀茂から種の持ち出しが禁じられていたとも。こんなすぐきを一躍全国区へと押しあげたのが、いわゆる「ラブレ乳酸菌」の発見である。1993年、京都府立医科大学の名教授でありルイ・パストゥール医学研究センターの創立者である岸田綱太郎が、インターフェロン産生能などを高める働きをもつとされる、通称ラブレ乳酸菌、学名Lactobacillus brevis subspecies coagulansをすぐきから単離したのである。その後この「ラブレ乳酸菌」を錠剤にしたサプリメントなどが発売されたり、西利がラブレ乳酸菌を使用した漬物を販売したりと、健康ブームという追い風に押され、ラブレ乳酸菌とすぐきの名はあっという間に全国にひろがった。余談ながら、ラブレが発見された研究所というのは僕が京都で初めて住んだ家のすぐ向かいであり、行きつけのバーのすぐ南。93年っていや、まだすぐそばに住んでたじゃないか、ということを今回初めて知った。

P1050466P1050475写真のすぐきは、今年の正月にお世話になっている方にお送りしたり、僕の実家に持ち帰ったもの。錦の高倉屋さんのもの。丸すぐきの中でもちょっと大きめで、おそらく1kg前後あったんじゃないだろうか。高倉屋さんのはこのときが初めてだったのだが、酸味だけではなく微かな苦みがあり、いうなれば大人のすぐきといった感じ。高倉屋さんのホームページにも書かれているが、身のところは分厚く切って食べるのが美味い。蕪とも大根とも違う食感、すぐき独特の酸味が満喫できる。葉のほうは細かく刻んでちょっと醤油をたらして。温かいごはんといっしょに頂くのもいいし、お茶漬けなんかにしてもたまらないだろう。刻みすぐきしか知らない人には、ぜひとも一度、丸すぐきを試してもらいたい。好き嫌いはべつにして、これはたしかに他の漬物とは一味違うときっとわかってもらえるのではないだろうか。

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