送るカレーと置きみやげ
週末、土曜の晩は、我らがMだクンの送別会だった。見事勤めが決まり、翌日の朝には東に旅立つMだクンを囲み、みんなで朝までお酒を飲んだ。いつも一緒に飲み食いしているなじみの顔はもちろん、懐かしい顔も揃い、なんだか僕まで嬉しかった。その日僕はカレー作って家を出たのだが、偶然Mだクンがいい話ですよと『アエラ』のカレー特集を見せてくれた。渥美清が食べた最後のカレーは、渥美の遺作『寅次郎紅の花』の撮影終盤に共演者でもある佐藤蛾次郎が作って食べさせたカレーだったかもしれないという話は少しだけ泣けた。『男はつらいよ』の撮影では、佐藤の作ったカレーを、毎回団子屋のセットで倍賞智恵子によそってもらって食べるのが決まり事だったのだという。翌朝当然僕は起きてMだクンを見送ることができず、僕の代わりにカレーがMだクンを見送った。カシミール・カレーを食べながら汗びっしょりになってたよと家人から聞き、なんかとてもリアルにMだクンのことを思い出した。食べ物をとおして見えてくる人間のこともあるんじゃないかと思う。
先月Mだクンは九州から、豚しゃぶのセットを届けてくれた。たくさんあるし、冷凍で届いたから、いつか一緒に食べようと話していたのだが、僕がその時間を作れぬままMだクンの出発の日が来て、おみやげは置きみやげになった。その置きみやげを昨日の晩頂いた。鹿児島の黒豚である。ごらんのとおり、脂身がとてもおいしそうでしょう。これがほんとうにおいしかった。一緒に入っている、ちょっと甘みの利いたたれも絶妙で、お肉だけでもどれだけでも食べれそうだし、ごはんにもとてもよくあっていた。おいしいとその分だけ、Mだクンと一緒にこれを食べることができなかったことが悔やまれるが、今はだまって、Mだクンと(そしてもちろんMだクンの新しいパートナ、Kさんと)と次に食べるであろうごはんのことを考えておこうと思う。
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コメント
ごぶさたしております!3種のルーのあいがけカレーは京都での忘れられないラストフードになりました。とてもおいしかったです。ありがとうございました。また押し掛けますんでよろしくです。敬礼!
投稿: Mだ | 2006.10.14 11:16
ごぶさた! そろそろ落ち着いてきたころかな? 昨日もキムポコにてMだクンの話をしていたところでした。また金曜日の夜、あの街角で逢いましょう!
投稿: manavic | 2006.10.14 13:04