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2006.08.31

ふぐの子の糠漬のこと

P1040095僕にとってはこれもやはり、小泉武夫さんの本で初めてその存在を知った醗酵食品なのだが、皆さんはふぐの糠漬けというのをご存じだろうか。ふぐを糠漬けにしただけであれば、たとえばへしこ(鯖の糠漬け)などと同じなのだが、今回食べてみたのは、ふぐの真子(卵巣)の糠漬けである。真子といえばもちろんテトラドトキシンを多く含む、ふつうには絶対食べられない部位なのだが、これを糠漬けにすると微生物の力で毒素が分解されるのだ。これが石川県の郷土料理、ふぐの子の糠漬けである。僕が買ったものは、塩蔵一年、糠漬一〜二年というもの。
 表面の糠を落とすと、ちょっと立派な鱈の子、といった感じの真子が姿を見せる。これを薄切りにしたものが写真である。長期間塩、糠に漬けられていただけあって、中はしっとりというわけにはもちろんいかないのだが、卵の粒はぷりぷりしておりなかなかおもしろい食感である。正直にいうと、ふぐらしさは感じない。むしろ、毒をもったふぐの真子でなければ誰もこれだけ長いこと漬けこもうとは思わなかっただろうということを思いながら食べるべきであろう。三年ものの魚卵、というのはなかなかお目にかかれないのだから。
 今回初めて知ったのだが、ふぐ毒の量は「MU」という単位で計るのだそうである。「MU」とは「mouse unit」のことで、体重20gのマウスを30分で死に至らしめるふぐ毒が、「1MU」。ただし食品衛生法上は、ふぐ卵巣加工品は10MU/g以下であれば人体に無害、といった具合に毒の量ではなく濃度で規制が行われているらしい。今回僕が買った真子の糠漬けのふぐ毒含濃度は、その規定を下回る5MU/g未満。「未満」を「ちょうど」と仮定すれば、単純計算ではこの真子1gあたりにはマウスを5匹、昇天させてしまうだけのテトラドトキシンが含まれているわけである。これを聞いたら、そんなに毒が含まれているのだと知ったらきっときーきーいいだす人がいるに違いない。そんなことを考えながら、真子を肴に酒を飲むのも悪くない。

P1040097この日のごはんは、先日の干し納豆の炊き込みごはんとお味噌汁。けっこうファーメンティッドな朝ごはん。今度はぜひともお茶漬けにしてみたいな。

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コメント

なーんと。ふぐの卵巣トライされたんですね。

私は碁石茶と同じく、長らく憧れながら、しかし憧れのまま終わっております。どんな感じなんだろうか。
酸っぱい?それともものすごーく醸すされた、渋いような匂い?意外に淡白?

私が想像している感じではお茶漬けは堪らんのじゃないかと思っているのですが、そういえば、お酒は何と合わせられたのでしょう。ワインですか?

投稿: 吉田(仮) | 2006.09.01 12:33

そうそう、ついついお取り寄せしちゃったのですよ(笑) いつもそうなんだけど、家でする仕事が立てこむとついつい。でも先方から見れば朝の4時に河豚の子の糠漬けの注文が届いてるって、変な感じでだろうね。

どんな感じかというのは、本文でも上手に書けなかったのだけれど、いわれなければ醗酵ものとはわからないような感じです。水分が飛んで明らかに長いこと寝かされていたものだとはすぐにわかるのだけど、たとえば乳酸醗酵っぽい酸味だとか、醗酵食品独特のにおいだとかはほとんどありません。

この日は朝ごはんだったので、残念ながらお酒はなし。食べた感じとしては、やはり日本酒かと。毒が消えるほど漬けこんだとはいえ、魚卵だけにワインはちょっときついかな? お茶漬け堪らんだろうというのはまったく同感です。

と、そんな吉田(仮)さんのために、ちょっと多めに取り寄せてあるので、よろしかったら近々ご賞味くださいね。

投稿: manavic | 2006.09.03 15:11

その昔、バイクで佐渡島をツーリングした時に、造り酒屋でおみやげで購入した記憶があります。たらこと比べると、玉子の粒が意外と大きくて、皮が固かった様なかんじだったかな?

ふぐの毒がマウスユニットというのは初めて効きました。これから鍋のシーズンだけに、お酒のネタに頂いちゃいますね。

投稿: ゑどん | 2006.09.10 11:34

ゑどんさん、コメント、TB(この記事ではないですが)、どうもありがとうございます。

佐渡島にもあるんですね、これ。初耳でした。粒が大きく皮が固いという印象は僕も同じでした。ただネットを見ていると、ねっとりとした食感、と表現されていることも多いので、いろんなタイプがあるのかもしれません。

MUの話、ぜひネタにしてください(笑)。20へえぐらいはゲットできるかも……と今書いて、「へえ」か「へー」か気になって検索かけたら、すでに「トリビアの泉」のネタになってました。77へえだそうです(笑)。

投稿: manavic | 2006.09.10 18:13

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