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2006.08.17

塩納豆のこと

P1020504納豆を食べ出したのはいくつぐらいのことだっただろうか。はっきりしたことは覚えていないのだが、不思議なことに、子供の僕は納豆を与えられず親が納豆を食べるのを見ていたという記憶はなく、恐るおそる自分の箸で納豆をかき混ぜたところから納豆の記憶が始まっている。よほど早いうちから納豆を食べていたのかもしれないし、自分の好き嫌いはひた隠しにして子供には好き嫌いはだめよと教える傾向のあった親だから、ひょっとすると家で納豆を食べていたのは僕だけだったのかもしれない。いずれにせよ僕には納豆をいやだと思った記憶は一切なく、初めて食べたそのときから納豆が大好きだった。においの強いものが多い醗酵食品には、人によって好き嫌いがはっきりと分かれるものが多い。しかし納豆の好き嫌いほど頻繁に、かつ至るところで語られる「好き嫌い」はないことを考えると、やはり納豆は日本人に愛されているのだなと思う。事実、一番簡単に手に入る一番くさい醗酵食品が納豆である。写真の納豆は数ヶ月前のある日、塩納豆って納豆を見つけたよと家人が大阪の百貨店から買って帰ったものである。温かいごはんにのせてもいけそうだが、こうして豆腐にのせても、豆腐のつるっとした食感と納豆のにゅるっとした食感とが絡みあいとても美味しい。大豆でできたものどうしのせいか、一般的にも豆腐と納豆は相性がいいように思う。

このときは塩納豆って何だろうということは、なぜかあまり深くは考えなかった。その後、小泉武夫氏の『発酵は力なり』を読み、納豆にはいわゆる納豆(糸引き納豆)と、塩納豆の二種類があり、前者は藁などについている納豆菌(枯草菌の一種、Bacillus subtilis var. natto)で大豆を醗酵させたもので、浜納豆、寺納豆ともいわれる後者は麹菌(麹菌の中でも『もやしもん』でおなじみの、A・オリゼー)によって醗酵させた大豆を乾燥、熟成したものであることを知った。僕が食べた塩納豆にはたしかに麹が入っていたが、乾燥はしていないから、両者の中間のようなものかなと勝手に想像していたのだが、今回調べてみて、僕が食べた塩納豆は、いわゆる塩納豆はぜんぜん違うものだとわかった。考えてみれば寺納豆といえば京都では大徳寺納豆、中国料理で使う豆鼓を説明するときに必ず引きあいに出されるあの納豆と同じものであるはずがない。調べてわかったのは、このぬるぬるでつるつるの塩納豆は、山形県酒田市で伝統的に作られているもので、秋、米の収穫の後に稲刈りで出た藁を使って仕込んだ納豆を、冬の間の保存を目的に、米麹、昆布などともう一度仕込んだものなのだそうだ。それが商品化され、テレビなどでも紹介されたためちょっとしたブームを呼んでいるのだそうである。なるほどこれで合点がいったが、こんなことを書いているうちにこの塩納豆、自分で仕込んでみたくなったのだが。

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