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2006.07.22

櫃まぶし

明日23日は土用の丑の日。土用の丑の日にはちと早いが先日櫃まぶしを食べた。これも先日の飛騨牛同様、実家から届いたもの。僕の両親は二人ともかつては鰻が大嫌いだったのだが、最近は案外旨いものだねなどといいつつ、鰻を食べているらしい。70を超えて好き嫌いをたとえ一つでも克服するとは何とも頼もしい話。とはいえそれはごくごく最近の話で、あんな蛇みたいな魚、などという親に育てられた僕は、家で鰻というものを食べたことが一度もなかった。小学校の高学年になったころだろうか、学校で米飯給食なるものが導入され、週二回給食でごはんが出るようになった。そのごはんのおかずとして鰻の蒲焼きを食べたのが、僕にとっての初鰻。真空パックになっていて湯煎で温める蒲焼きである。飴色に煮つめられたたれは子供にはとてもおいしそうに見える色だが、食べてみれば、魚くさいは、皮は噛みきれないは、小骨はあるはで、親が嫌うのももっともだと勝手に納得したものだった。ほんとにおいしい鰻を食べたのは20歳のころ、浜名湖から近いボル夫クンの実家に友達大勢と押しかけたときのことだった。ボル夫クンの父上が駅まで来るまで迎えに来てくださったのだが、家に着いたと思ったら、近所に鰻食べに行こう、ちゃんと頼んだるもんで、と仰る。このころは限られた経験によって裏打ちされた親の間違った教えがまだ僕のなかに残っていたから正直気乗りしなかったのだが、その近くのお店とやらに連れて行っていただいた。それが旨い! めちゃくちゃ旨い! ついさっきまで鰻が苦手だったと悟られるのではないかという危惧から平静を装ってはいたが、今でもあの新鮮な感動はよく覚えている。

もうちょっとだけ余談。ちなみに鰻が苦手だった子供のころは、土用というのは土曜のことで、ウシというのは鰻の別名かなんかだろうと思っていた。根拠はないが、どっちも「う」で始まるし……ぐらいに思っていたのだが、これはあながち間違いではない。土用鰻の発案者とされる平賀源内が着想を求めたといわれる民間伝承は、土用の丑の日に「う」のつくものを食べるとよい、というもの。だから、土用の丑の日ってのは牛を食べる日だと思ってた人もセーフ(笑)。今年は明日23日と、8月4日が土用の丑。なんか精力つきそうな「う」を食べましょう。いいアイディアを思いついた方は、コメントくださいね。

P1020994さて、またしても前置きが長くなったが、今回は蒲焼きではなく櫃まぶし。僕は岐阜で育ったものの、すでに述べたような事情から、この名古屋めしを食べたことが一度もなかった。今回頂いたのは、名古屋のしら河というお店のもの。恥ずかしながら僕は今回初めて知ったのだが、櫃まぶしというのは、一食で三度美味しい、的食べ方をするのだそうだ。説明書きを見ながらそのとおり食べてみた。まずは鰻を炙り、炊きたてのごはんと混ぜるところから。櫃まぶしというぐらいだから、それこそおひつで混ぜたらよかったのだろうが、おひつにたれが残りそうで今回は断念。

P1030002まずは一膳目。一膳目はストレート、というのかな、たれと鰻を「まぶした」だけのごはんをそのまま頂く。鰻自体ももちろんたれ焼になっているのだが、これに好みの量のたれをかけてごはんとまぶすのである。名古屋だけあってたれの味は濃いめなのだが、それこそ元気が出そうな味である。

P1030004二膳目は薬味を添えて。薬味としてこの「キット」に含まれるのは、海苔、山葵、山椒、そしてフリーズドライの葱。葱はせっかくだからと生のものを刻んだ。これがまた旨い。もちろん他に合う薬味もあるかもしれないが、ヘタなものは入れたくないなと思うぐらい、これでもう完成されているという印象を受ける。

P1030007そして最後はお茶漬け。名古屋でもこのお茶漬けは、ほんとうに緑茶で茶漬けにする店と、だしをかけて茶漬けとする店とあるのだそうだ。このしら河さんは後者。だしの茶漬けはネタを選ぶと僕は思うのだが、櫃まぶしにはぴったり。薬味も入れろということなので、海苔と山葵だけ入れてみた。

ごはんは一人3/4合ぐらいの見当だったはずだが、ぺろりと食べてしまった。一膳一膳は軽いので、目先がちょっと変わっただけでどんどん食べれてしまうのが恐ろしい(笑)。精がつくのかどうかはわからないけれど、とにかくおいしい櫃まぶし。ごちそうさまでした。

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コメント

manavic先生が件の鰻丼で鰻が好きになった話をすると、親は得意満面になっておりました。実際は隣の鰻屋さんが偉いのですが(笑)。隣の鰻丼が食べられない事は留学して残念な事の一つであります。

投稿: ボル夫 | 2006.07.25 00:01

いやいや、こちらこそあらためてごちそうさまです。あれ以上においしい鰻丼は食べたことがない、鰻を食べるたびにあのお店のことを思いだす、とぜひ伝えてください。おまけに、御両親にはブログにまで登場していただいて(お母様→豚キムチの話)。

Wikipediaの英語版を見るとヨーロッパ、アメリカでも鰻を食べるように書いてあるけど、鰻は売ってないのかな?

投稿: manavic | 2006.07.25 11:23

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