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2006.06.10

大居酒屋大会・4

P1020443さて四日目。四日目の仕切りは僕。

P1020423この日のつきだしは芹のおひたし。芹は大好きな野菜の一つ。香りはもちろん、あのきっしとしたような独特の食感も大好きだ。本来の季節ではない今自分でも手にはいるようになったことには、季節感が失われつつあるという危機感よりも、うれしさの方が先に立つ。おひたしは、今回のように醤油で食べても美味しいし、だしに漬けるほんとうの「お漬し」にしても旨い。味噌汁の具にしても、独特の香りが加わりうれしい。

P1020425居酒屋メニューといえばやはりこれ、アサリの酒蒸しである。酒蒸しとはいってもこの日は白ワイン蒸しで、さらにバター入り。ある意味洋風だが、葱など散らせば和食の間に食べても何の違和感もない。ちょっと塩加減を間違えたのがいたかったが、それでも美味。

P1020427僕は学生のころから家に人が来るのは大好きで、夜中に酒の肴なぞ作ったりよくしていたものである。その頃は料理のイの字もわからないころだし、何せ酔っぱらってやることだから、さぞ怪しいものを作っていたのだと思う。そんなころ、ボル夫君のご実家にお邪魔したことがあった。ボル夫君が母君に、「あ、こちらが先輩のmanavicさん」と紹介してくれると、母君、「ああ、あの変わった料理作る人!」。あとから聞いてわかったのだが、「変わった料理」というのは豚キムチのことであった。豚キムチというのはじつは、ほんのつい最近居酒屋で生まれた料理でしかないのかもしれない、としみじみ考えたのを、慌てて「えっ、えっ、ぼく変わった料理なんていってませんよ!」と叫んでいたボル夫君の顔といっしょに思いだす。冗談はともかく、キムチがここまで普及するとは、漬物屋でキムチが「朝鮮漬」の名で売られていた僕たちの子供時代には考えにくかったかもしれない。今日日のお母さんたちは韓流ドラマを楽しむが、われわれの母親の世代にとっては豚がキムチとよく合うことでさえ「不思議」なことだったのかも。

P1020429何だか順番がおかしいが、この季節になればやはり鱧。東京の人などと京料理の話になると、きまって、京都の人って鱧好きだけど、鱧ってそんなにおいしいものなの、と訊ねられる。僕はいつも、まあ季節のものですからね、とだけ答えることにしているのだが、この答えに先方はふぅん、なるほどねぇと口では納得してくれるものの、不思議そうな表情が顔から消えることはない。思うに、季節のものをこぞって食べるということ自体、とっても「キョート」的なことなのだと思う。素材を少しでもおいしく食べようという創意工夫から調理技術の体系が進歩するのも「文化」だが、京都には──それがいいことか悪いことかどうかは別として──もう一つ別の文化的次元があるのだと思う。これは京都に限ったことではなく、「京料理」と呼ばれるスタイルが存在する京都でたまたま顕著に見られる傾向なのかもしれない。いずれにせよその次元というのは、おいしい/おいしくないという生理学的な価値基準とは少し離れたところにあって、約束事が多く複雑で、排他的で気難しい。そうして考えると、「京都人は鱧が好きだが、鱧ってそんなに旨いのか」という問いは、旨いものだけが好んで食べられるはずであるという先入観に根ざしたものであることがわかる。「食文化」という言葉がこれほど叫ばれた時代はないんじゃないかと思うが、そこで使われる用語(素材、味、旬、産地)といったものはどれも物理的なものである。そういったものから少し距離を置いたところにある「文化」こそ、(よかれ悪しかれ)ほんとうの文化ではないかと思う。ようは、旨いものが一番なのはあたりまえ、でもそれだけじゃないからこそ食べ物の世界は面白い、と思うのだ。

P1020440ちょっと書きすぎなので駆け足でメインに。これは鮎の甘露煮。ずいぶん昔、実家のある岐阜で鮎づくしのお店に出かけた。そこでメインに出てきたのが甘露煮。メインが塩焼きでないことも新鮮だったが、甘露煮といっても鮎を甘辛く炊くいわゆる鮎の甘露煮とは違い、だしと実山椒だけで炊きあげであるのが素晴らしかった。ようは甘露煮のように頭から骨ごと食べられます、ということで「甘露煮」と呼んでいるだけで、甘露煮ではないのである。それ以来ときどき山椒といっしょに薄味で鮎を炊くのだが、今回は時間がなかったので骨まで食べれる、というわけにはいかなかった。今度はもうちょっと時間のあるときに、しっかり炊いてみたいな。

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