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2006.06.07

ブログのこと

Picture3じつは昨日はこのブログの満1歳の誕生日だった。いつも読んでくださるみなさんのおかげでここまで来れたと感謝しています。ただ、これはあくまでも任意の選択で、僕の場合は読んでくれる人がいなかったら途中でとっくに止めていただろう、という意味で、ここまで書き続けたのは、はい、読んでくれているあなたのおかげです、つまり、あなたが読んでくれてなかったら、私、とっくに止めてました、という意味での「感謝」である。ちょうど一ヶ月ぐらい前に、このブログのホストでもあるニフティから、あなたがニフティに加入されて丸14年です、という自動発信のメイルを受けとった。その頃から、インターネット以前のいわゆる「パソ通」を初めて14年にもなるのかと、懐古的な気持ちになっていた。ちょうどその頃ある会の席上、ブログって垂れ流しだよね、という話が出て、その見解に激しく同意したこともあった。そんなわけで、ここ一ヶ月前後の間にネット、ブログについて考えたことを、この機会に書いてみようと思う。

何から書いていいのかわからないのだが、まずはこの14年ぐらいの、つまり僕が知っている期間でのネット社会の変化について書いてみよう。ご存じのとおり、「ネット」の敷居はこの何年かで驚くほど低くなった。よく、「おじさんまでがネットを見る時代」みたいな言い方がされるが、この言い方は二重の意味で間違いである。まず、おじさんがネットをするようになったのではなく、おじさんでもネットを見れるようなコンピュータができたのだ、ということ。そして、この10年前後の驚くべき変化は、おじさんがネットに参入したことではなく、若者がネット社会に踏み込んできたことである、という点。前者はどうでもいいとしても、「ネットで物言う人間」という観点から考えると、後者の変化は見すごしがたい。ネットを見るのとネットで物を言うのはぜんぜん違うことである。パソ通時代から、ネットで物言うおじさんは多くいらっしゃったが、その数はさして増えてはいないように思われる。パソ通時代から、ネットおじさんたちはネットを根城に論戦を張っていたし、インターネットが普及すると彼らはすぐさま自分のホームページを立ち上げた。彼らのパソ通での微に入り細に入る議論や、インターネット黎明期の不細工なホームページを思いだすとき痛切に感じるのは、彼らの──その対象は自分の趣味であれネットそれ自体であれ──情熱である。しかし「ネット」の敷居が低くなった今、われわれブロガーは、ほとんどのブログは垂れ流しである、という見解に反論する術をもっているだろうか。

てなことは、じつは僕が一年前にこのブログを始めるときからわかっていたことである。正直にいうけど、ブログを始めるとき、僕は、ああ、俺もこうして垂れ流しをするのだな、と思った。それでも始めたのはもちろん書きたいことがあったからなのだが、初心者ブロガーとしての最低限のモラルとして、次のことだけは守ろうと思った。1) 食べ物でブログを書くのだから、極力それ以外のことは書かないことにする。食べたものの羅列もダメ、書きたいものがあるときだけ書こう。2) 店のことを書くなら美味しかった店のことだけを書け、美味しくなかった店のことは忘れよう。3) 1)とも関係するけど、私生活のどうやこうやの愚痴は厳禁、楽しい話だけを書け。まあ、これがどれだけ守れたかは自信がないし、これを守れば面白いブログが書けるわけでもない。それでもここまで書き続けたのは、食べ物にかんしてはまだ言えることがあるはずだという意識だと思う。

僕は仕事柄、つねに食べ物をそれをめぐる言葉とセットで考えてきた。その意味では、このブログを書き続けるという作業は、大げさにいえば食べ物とコトバとの境界線をなぞるような作業だったのかもしれない。食べ物をめぐる言説は食べ物それ自体ほどではないにせよ、いつでも魅力的である。それでもなお、食べ物が語り尽くされたとは到底思えない。ふと食べ物のこと──自分の好き嫌いであれ、昨日食べた美味しかったもののことであれ──を考えるとき、何か大事なもの、大事な何かが忘れられているような気持ちにとらわれるのである。以前とある人に、「おいしいものへの長い道のり」というタイトルでブログを書いていると話したとき、「長い道のりなん?」と尋ねられた。その意図は、おいしいもんってふつうにいっぱいあるんちゃうん?、ということだったのだと思う。それには僕も100%同意せざるを得ない。自分が知らないだけど、おいしいものは身のまわりにあふれているのである。しかし「短い道のり」じゃブログは続かないし(笑)、「おいしいもの」というのは、それを食べたら目的地に着いたことになるのではなく、そこから長い道のりが始まるような種類のものである。おいしいものを口にした瞬間から新しい謎が始まる。これはすべての人にとってそうではないかもしれないようなことだけれど、僕にとってはまさにそうなのだ。僕はそんな人間だから、たぶんもうしばらくこのブログを続けるだろう。そういうわけだから、みなさん、お時間があればもう少しおつきあい頂けたら、と思うのです。

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コメント

ココログのメンテナンスに巻き込まれ(?)、記事後半が表示されないままでしたが、ようやく直りました。一周年、というときにこんな話も何ですが、ここはあまりに不安定なのでできるだけ早いうちに自前のサーバに引っ越そうかと。今後とも「おい長」をよろしくお願いしますね。

投稿: manavic | 2006.06.09 17:04

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