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2006.03.27

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今日は昼ぐらいから外に出た。用事は予定どおり夕方には終わったので、久しぶりに藤井大丸のTAVELTに行った。日本に帰ってきてからはじつは初めて。あれこれ買い物をして外に出る。

次の行ったのは電気店。お気づきの方もいらっしゃるかもしれないが、ロンドンに行ったあたりからこのブログに掲載している写真を撮るカメラが変わった。カメラを買えたのはこれがじつは二回目で、年末あたりにずっと使っていたカメラを落として壊したときが一回目。このときは昔使っていたデジカメを引っぱりだして使った。ロンドンに行くにあたり、もしかしたら資料を自分で撮影するチャンスもあるかもしれないと少しだけいいカメラを買った。カメラは昔から好きなので、ほんとうはだいぶ前から一眼デジカメが欲しいと思っていたのだが、そこまでの余裕はなく、パナソニックのちょっといいレンズのはまったやつを買った。そのカメラのUSBケーブルが昨日なくなったのだ。

P1010487家中どこを探してもないから、今日はそれを買いに電気街に出かけた。一軒目では今きれています、といわれた。二軒目ではどうやらこれかなというものを選び、レジでこれでいいのかと尋ねた。いいかと聞かれても裏の対応性一覧にない機種であればこちらでも返事はしかねる、実機は持ってきたのか、との間の抜けた返事。こちらもわからないので、調べていただけないですかと頼むと、電話をかけてくれる。ところが、ふつう僕の感覚でいくと、こういうときはケーブルのメーカーに電話をするものだと思うのだが、何とパナソニックに電話をかけている。たらい回しにされた上、最後の番号はつながらない。ケーブルのメーカーさんのホームページとか見たらわかりませんかねえ、とやんわりいうと、ここ[パッケージ]に書いてないってことはメーカー側でも確認してないってことなので、パナソニックに聞いてみないと、という返事。そんなことはないだろうと思っていたら、電話を待つ間にケーブルのメーカーのHPも調べてくれた。しかし驚いたことに、ホームページにも「パナソニック、ニコンなど」としか書かれていないのだという。ちょっとおかしな店員さんだが、いやいやながらも電話をかけ続けてくれる(おまけにその間に僕に世間話をしてくれる)彼を見ていると、悪いのは彼ではないという気がしてくるのだった。デジカメのUSBコネクタの形状には少なくとも五つの種類があるようだ。僕がこれまで使ったデジカメは三つとも違うコネクタだったし、昔間違えて買ってしまったケーブルはその三台のデジカメのどれにも対応していないものだった。機能に(そして大きさその他の面でも)何ら差がない規格が乱立しているというのがまずおかしい。もっというと、何の意図があるのか知らないが、パナソニックは途中でコネクタを変えている。そしてこれらの規格にちゃんと名前がついていない(あるいはついていてもそれが実際に使われていない)のもおかしい。そのためか、カメラメーカーの(少なくともパナソニックの)カタログを見ても、コネクタが何であるかは書かれていないのである。仕方がないので、返品可ということにしてもらって、どうやらこれかと思ったものを買って帰った。

帰り道この二年で三回ぐらいいっている(というか、三回ぐらいしかいってない?)ラーメン屋に寄った。塩ラーメンで有名な店である。初めて行ったときは一口目で感動したが、途中からだんだんと塩辛くなり最後までスープを飲むのがしんどかった。二回目は、一回目よりもバランスがよく最後まで美味しくいただくことができた。今回はまったく美味しかったのだが、如何せん、店を出たあたりから化学調味料の後味が口中にこみあげてきた。古い親友が白い粉に手を出した、という気持ちだ。じつは昔からそうだったのかもしれないが、それでもじつはおまえと会う前からやっていたんだと告白されるような悲しさがある。店主が何を思われたのかはわからないが、ちょっと残念。

しかし何といっても一番がっくり来たのは、家に帰ってみると、座布団の下からなくなったはずのデジカメのケーブルが出てきたこと。あーあ_| ̄|○

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2006.03.23

禅寺に行こう

P1010445以前妹の結婚式のことをこのブログに書いた。僕としてはあくまでもごはんネタの延長線上で書いたつもりだったのだが、沢山のことからお祝いの言葉を頂きいたく恐縮した。妹の良人が禅寺で修行をしていたこともあって、結婚式も縁のお寺でしていただいたのだった。そこで禅宗に大いに開眼した僕だったが、今回は妹の良人がかつて修行をしていた禅寺に出かけることとなった。春のお彼岸の行事、「彼岸講中斎」に呼んでもらったのだ。去年も声をかけていただきながら行けなかったので、二度目の正直である。

P1010456彼岸講中斎では、集まった檀家さんその他に精進料理がふるまわれる。「一日不作 一日不食」と書かれた箸袋からお箸を取り出し頂いた料理は、ごはん、お味噌汁、飛竜頭、胡麻和え、胡麻豆腐、香の物。いわゆる一汁三菜である。これを頂いて目から鱗が落ちる想いがした。それこそ妹の披露宴の料理について、おせち料理のように一品一品にシンボリックな意味が込められているのが楽しいと書いたが、禅寺の料理はまさにその対極にある料理。結婚式の料理のような贅沢がないのはあたりまえのことである。そうではなく、ここにあるのは決定的な「意味」の欠如なのだ。それと対照的に、材料を大切に使おうという配慮や、栄養のバランスに対する心配りは徹底されている。その結果、過剰なまでに「意味」を盛り込むことこそが料理でありもてなしであると考えているわれわれは思わぬ肩透かしを食らうことになる。

料理だけでなく、寺全体を礼節が支配している様も見ていて心洗われる思いがする。僧侶と檀家は敬意と感謝とで結ばれているかのようだ。知った顔どうしが出会うと、まずは地べたに座り頭を下げるところからコミュニケイションがはじまる。深々と頭を下げる僧侶たちの仕草もけっして形式的な印象を与えない。しかしこの日残念だったのは、般若心経が聞けなかったこと。禅宗のものは格別なのに。

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日曜日

P1010429やらねばならないことが立てこんでいてほんとうはそれどころではないのだが、日曜日は大阪にお出かけ。別に気合いが入っているというわけでもないのだが、なぜか早起きしてしまったので久しぶりに朝ごはんを食べる。ほぼ毎朝ごはんを炊くだけはたくのだが、これは家人の弁当になったりおにぎりになったり、僕が出かけるのが遅い日でも明太子に味噌汁、といった食べ方なので、家でちゃんと朝ごはんというのはほんとうに久しぶり。一時期がんばって毎朝朝ごはんを食べていたころのことを思いだした。やはり朝ごはんは大事ですね。ちなみに写真の鮭、左右が反対。こんな焼き方をしてはいけませんよ。

大阪に出かけた目的は、松竹座に尾上松緑の『夏ノ夜ノ夢』を見に行くこと。自分の仕事との関係もあって最近演劇、歌舞伎、落語などに興味がある。今回は家人がチケットを頂いたということで(またか)、忙しくはあったがありがたく出かけた。なかなか面白かったので、家に帰り早速原作を探し出してぱらぱら。仕事との関係もあってなどとえらそうに書いたが、僕は恥ずかしながら原作も読んだことがなかったのである。

観劇後、千日前の寿司屋、一半さんへ。家人が先日家人の父君らと出かけた店である。そのとき家人が、あまりに美味しかったからとガリをおみやげに持って帰ってきてくれた。ふつう土産はネギトロだろうと思わないではなかったが、たしかに旨いガリだった。僕はすぐにでも京都に戻って仕事の続きをという気分だったのだが、そのときのタッパーを返したいからといわれたらしょうがない。「すごいお店」と聞いていたが、中に入ってみると気さくな雰囲気で、内装が特別豪華ということもなくそれほど敷居の高さを感じるわけでもない。しかしそれもネタケースをのぞくまでは、の話である。ずらっと並ぶ豪勢なネタを見て、明らかに自分には分不相応な店だと悟った次第。それでもせっかくだからとカウンターに陣取る。何を頂こうかと話しながらあたりを見回すと、どのお客さんも造りを食べている。いつもの僕のように、酒を頼んだらすぐにぎり、なんて輩は誰一人としていないのである(寿司屋での僕のポリシーは、NFWNR=no fish with no rice、である)。やっぱりお造りだろうか、で、で、で、でも、こ、こ、こ、こんなお店で、お、お、お、お造りなんて、と思っているとカウンターから、お造り二人で一人前ぐらいしときましょうか、との声。は、は、は、はい、お、お、お、お、お願いします。そうして出てきた造りがこれまたすごい。中トロ、鯛、海老のおどり、針烏賊などなど。どれ一つとして隙のない造り。造りのわさびはおろしたてのものがあらかじめ醤油に入った状態で供される。へーと思ったがこれを崩しながら造りを頂くとじつに旨い。その後赤身、赤貝、穴子、小鰭、雲丹などをにぎりで頂いたが、どれも甲乙つけがたい美味しさ。強いていうなら穴子(焼きではなく蒸しだった)がとても印象に残った。もしサラリーマンをやっていたら、ボーナスの晩は間違いなくここである。

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東洋水産「匠 具沢山野菜塩味」を食べる

カップ麺が多いのは忙しい証拠(笑) またカップ麺である。

takumi_shioP1010421今回はマルちゃんの匠シリーズの塩ラーメン。「具沢山野菜」とあるが、メンマ、ニンジン、白菜(だと思うのだが……)、そして何とベビーコーンまでがレトルトで入っている。レトルトだけ合って野菜の食感、味はフリーズドライのものとは段違い。カップ麺を食べたい(あるいは食べざるを得ないが)野菜を食べたい!、という人には(そんな人がいたとしての話だが)もってこいだろう。僕が感動したのはむしろスープ。塩味のスープなのだが、野菜の煮汁(らしきもの)も手伝ってか、じつにマイルド。それはもちろんカップ麺のスープではあるのだが、粉末のスープの素と生の野菜で作ったスープぐらいは十分美味しい。この優しい味に救われるような気持ち。

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2006.03.20

朴葉味噌のこと

P1010362家人が朴葉味噌をいただいて帰ってきた。朴葉味噌は飛騨高山の名物なのだそうだが、10年以上岐阜に住んでいた僕はそんなことを聞いたことがあるようなないような。それなら早速いただいてみようということで炭をおこした。味噌をのせた朴葉をアルミホイルの上で焼く。そこにいろいろな具をのせ、適当に混ぜながら一緒に焼く。この日焼いてみたのは白葱、玉葱、椎茸、えのき、豚のフィレ肉などなど。味噌は東海地方の味噌らしくそのままで嘗めてみるとけっこう濃い味がするのだが、適度に火を通すと、また野菜からも水分が出てくるとほどよい感じである。豚肉も美味しかったのだが、牛の赤身などもいいかもしれない(本来ならば飛騨牛か?)。

P1010378これは別の日の炭火焼きの具。薄く切った蛸を醤油、煮切り酒、みりん、砂糖、一味などを合わせたたれに漬け炭火であぶる。漬けるといっても蛸に色がつくほど漬けこむのではなく、炭火にのせる前に合わせておく、といった感じ。20代のころ背伸びして通っていた百万遍の割烹で出会って以来、蛸の炭火焼きは見つけたらついつい頼んでしまうメニューである。

P1010380この日も頂き物を一つ。家人の会社の先輩で富山の出身の方がいらっしゃる。ふだんから僕も親しくさせていただいているのだが、富山は僕の母親の故郷でもあり何となくご縁を感じる。その方が氷見に帰るたび素敵な(つまり美味しい)おみやげをいつも下さるのである。今まで白海老、蛍烏賊のみりん干しなどいくつも素晴らしい食べ物を教えていただいたが、今回頂いたのは蛍烏賊の墨干し。見てのとおり、墨で真っ黒になった蛍烏賊である。炭火にのせるとくるくるっと丸くなる。丸くなりつつあるぐらいのところを頂くのが○。ふつうのみりん干しとはまた違う独特の風味がよく、ついつい一つ口に運んではまたもう一枚、という具合。まさに「珍味」である。

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2006.03.19

ヤマダイ「凄麺 横浜とろみもやしそば」、「凄麺の焼そば」、「凄麺 丸鶏使用スープのとりそば ゆず風味仕立て」を食べる

さらに続いて、凄麺三連発です。

sugomen_moyashiP1010358まずは、「横浜とろみもやしそば」。原形は横浜の「サンマー麺」なる野菜のあんかけそば。あんかけそばというほどはとろみがついているわけではないのだが、野菜のあんかけらしい滋味あふれるニュアンスはひしひしと伝わってくる。パッケージには「中華風醤油味」とあり、写真のスープが赤いのでついつい辛めのスープを想像してしまうがそんなことはない。野菜メインの具材にあった優しいスープである。しかしレトルトのもやし、やっぱりレトルトでもくたくたなのか、というのが少し残念。しかしそれでもなお、スープに一票、と思いたくなる逸品。

sugomen_yakisobaP1010382以前食べたことのある「凄麺の焼そば」のリニューアル版。凄麺のあの食感がグレー津アップしたのかというとそんなこともなく、まあこんなもんかなーという感じ。とはいえ、揚げ麺とは次元の違う食感ではある。美味しくなったのはソース。前回はソースに若干不満が残ったのだが、今回はソースがいい。ソース焼そばはしっかりした味が一番、というのが僕の好みなのだが、今回の「凄麺の焼そば」、しっかりしているだけでなく奥行きがある味つけだ。これまたなかなかの逸品。

sugomen_toriP1010385そして最後は「とりそば」。透明度の高いスープに具は青菜と鶏団子のみ。塩ラーメン系ではよくあることだが、若干塩味の強さが気になるものの、旨味も十分。最初の何口かは頼りなさを感じるのだが食べ進めるにつれて旨味が追いかけてくる感じ。柚子の香りも食欲をそそる。こんなスープで凄麺を食べるというのもいいなとあらためて思う。麺が終わってからちょっとさびしくてごはんまで食べてしまいました(笑)。ラーメン、というよりは鶏鍋の最後に麺やごはんでシメ、という感じか。

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2006.03.18

日清「GooTa 味玉叉焼麺」、「麺の達人 まろやか高菜とんこつ」を食べる

日本を出る前もそうだったが、家で仕事を一日中してるとカップ麺が増える。朝はたいていごはんを炊いているのでそれを食べるのだが、昼になって何か食べたいと思うとカップ麺。そんなわけでカップ麺をいくつかレヴュー。

goota_ajitamaP1010310まずは具多の味玉入り。正直いうと味玉はイマイチだったのだが(ちょっとポソっとしている、どうせ一個分ならなぜ丸のまま入れぬ)、スープはなかなか。スタンダードな醤油味で、これといって特徴があるわけではないが、ふつうに美味い。今回は叉焼もそれほどかすっとしていることもなく満足。

mentatsu_tonkotsuP1010355二つめは、日清麺達シリーズのとんこつ。フタに「芯あり 細ストレート麺」とあるが、博多麺のいわゆるハリガネ仕様。ハリガネ博多麺はカップ麺では若干不自然な印象が否めないのだが、最近試した二つよりもナチュラル。その麺を「まろやかとんこつスープで堪能」との謳い文句も嘘ではない。なかなかコクのあるスープで素直に楽しめる。なかなかの一杯。

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水餃子

P1010331先週の週末、家人が大阪から水餃子を買って帰ってきた。以前ちょっと調べてみたことがあるのだが、本場中国では焼き餃子よりも水餃子が好まれるらしい。餃子を焼く、というのはあくまでも余り物を食べるための食べ方であり、それは「鍋貼」というあまり可愛くない名前で呼ばれるのだという(ただ、日本の餃子のように焼き用に特化し薄目の皮で作られていれば、それはそれで旨いと思うのだが)。物の本によれば、中国ではニンニクは具には使わず、薬味として使う。他に、豆板醤や白葱を薬味に使うこともあるということで、今回はこの三種を薬味に準備してみた。つけだれの基本的な配合は、酢1、醤油3とのこと。写真の手前に見えているのが豆板醤を加えた酢醤油。どれもなかなか美味しい。久しぶりに皮から餃子を作ってみたくなった。

今回のものの本はこちら。このシリーズ、定番のレシピから、おっ、家でそんなことができるのか、ってなことまで幅広くカヴァーしているのでうちにもすでに2冊ほど……(笑)

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鍋三種

P1010313日本に帰ってから最初に外で食べた御飯は焼肉。それ以外はなぜか鍋をよく食べていた。写真はレタス鍋。だしは日本酒が利いていて大根おろしがたっぷりと入っている。これにレタスを入れ、豚肉のしゃぶしゃぶをするのだ。レタスや肉はポン酢で食べる。どこだったか大阪の店で家人が覚えてきたものなのだが、これがなかなか旨い。レタスの食感は想像どおり楽しいが、軽く火の通ったレタスが和風のだしやポン酢に合うのはちょっとした驚き。

P1010322P1010325次はちゃんこ鍋。写真の鍋の中に浮かんでいるのは肉団子。で、ちゃんこ鍋といえば柚子胡椒。家人がだいぶ前に作った柚子胡椒が冷蔵庫にずっとあるなあと思っていたが、今やかなりの年代物になっているらしい。家で作ったものには化学調味料も何も入っていないから、いくぶんさびしい気もするがそれはそれで自然な味でよい。そもそも単体で食べたり、これをおかずにごはんを食べたりするわけではないのだから。

P1010366三つ目はあんこう鍋。土鍋で鮟鱇の肝を煎って味噌と合わせてだしとする。若干あくが気になるが香ばしい香りがして楽しい。鮟鱇の鍋といえばちり鍋風の鍋ばかりで、淡泊な鮟鱇の身をポン酢で食べる、という食べ方ばっかりだったが、こういう濃いめの味つけでも面白いものだと思った次第。

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2006.03.17

そして日本へ

P1010207P1010205最終日の話の前にまずトリヴィアから。日本にいると硬貨のデザインは一種類につき一通りというのがあたりまえ。もちろん今でも稲穂が描かれた五円玉や「ギザ十」にお目にかかることもあるし、五百円玉も偽造対策が施される前は今とは違うデザインだった。しかしイギリスでは硬貨のデザインはもっとしょっちゅう変わるらしい。左の写真は1ポンド硬貨だが、女王陛下も少なくとも3ヴァージョン(どれも同一人物です:笑)、裏側のデザインも少なくとも4ヴァージョン……と思っていたらもっとあった。側面に刻まれている文言もそれぞれ違う。右の写真は2ポンド硬貨だが、どれも同じ面を上にして積み重ねた図。よく見てもらうとわかるのだが、一枚だけ側面の文面が逆さまになっているものがある。これに初めて気がついたときは何となく気持ち悪かった。ちなみに側面に刻まれているのは、「Standing on the Shoulders of Giants」。いい言葉だ。

P1010261もう一つトリヴィア、というかお役立ち情報。海外の旅行先で日本から持っていった電化製品を使おうと思ったら、変圧器やプラグの変換アダプターは必須、と思いこんではいないだろうか。僕はそう思いこんでいた。今回も出発の前日に仕事に出た家人に変圧器を買ってきてもらった(そもそも人にあげたつもりになっている変圧器が自分のところに帰ってきていることを忘れていたのが問題なのだが)。今回持参したコンセントからの電源が必要な電化製品は、ノートPC、デジカメ、携帯電話。ところが、である。これらの定格入力電圧はいずれも100-240V。つまり、プラグの変換さえできれば変圧器は必要ないわけである。これに気がつく前はPCをつなぎっぱなしにしていると変圧器の温度ヒューズが作動し(PCの消費電力が変圧器の定格容量を超えているのだ)、その度に窓際で変圧器を冷やしたものだったが、そもそもそんな必要はなかったのだ。おまけにNTTドコモからレンタルした海外用携帯(僕は海外用の携帯を一つもっているのだが、あまりに安いので今回初めて借りてみた)にはご丁寧にプラグの変換キットまでついていた。変換キットの値段だけでも十日間ぐらい海外用の端末が借りれるのだから皮肉なものである。海外にお出かけの方はご参考に。どうしても変圧器が必要な方はご連絡を。在庫2、です(笑)

P1010263閑話休題。最終日の話。二日酔いではあるがまずは荷物のパッキングである。今回はあまり部屋を散らかさないようにしていたからほとんど問題はなかったのだが、困ったのがワインの瓶。ホテルだからあたりまえだが、基本的にはゴミ箱に入れて置いたものしかごみと認識されないから、なぜか全部残っている。しめて10本。写真の手前に写っているのは「ワイングラス」として使っていたJALの機内用のカップだが、僕が後生大事にずっと使っているのを見かねたのか、滞在の最後のころには掃除のおばちゃんが洗って拭いてテーブルの上にきちんと置いておいてくれるようになった。この「グラス」で7lもワインを飲んだかと思うと感慨深い(笑)。

P1010292P1010286その後チェックアウトをすませ、荷物だけはホテルに預けタワー・ブリッジに。写真ではわかりにくいかもしれないが、タワー・ブリッジはとても大きい橋。渡ってみるとこんなものをよくもまあ河の上に建てようと思ったなものだとつくづく思う。タワー・ブリッジ、それに隣接するロンドン塔は子供の時に行って以来だったのだが、今回その通り向かいに右の写真の建物を見つけた。第一次世界大戦中に海で命を落とした海の男たちへのモニュメントである。銘文がいい。「To the glory of God and to the honour of twelve thousand of the merchant navy and fishing fleets who have no grave but the sea.」

P1010295その後ホテルに荷物を取りに戻り、空港へ。この土日は工事のためラッセル・スクウェアとヒースローを一本で結ぶ地下鉄ピカデリー・ラインは運休。代替輸送ということで、ふだんは£15のヒースロー・エクスプレスに地下鉄の運賃で乗せてくれるらしい。そんなわけでパディントンからヒースロー・エクスプレスに乗る。前日に友人から高いけどなかなかいいですよ、と聞いていたのだがなかなか乗り心地もよい。ふだんは一時間の道のりも15分。空港で少しだけ買い物をし飛行機に。機内に乗り込んでから離陸を待つ間に日がすっかり暮れてしまった。ふたたびレッドアイを飲みながら晩ごはんを待つ。ところがワゴンが来てみると洋食はもうないのだという。がっくり。気を取りなおして和食をいただく。メニューは、牛角煮 御飯添え、ひじきの旨煮、切り干し大根、稲庭うどん、バナナ・キャラメル・ムース。一緒にワインをもらったのだが、洋食を食べれずよっぽど不機嫌な顔でもしていたのか、食後におかわりを勧めてもらった。実のところはといえば、和食しかなかったからと行ってめげるわけでもなく、レクター君よろしくロンドンから持ちこんだパテやらサラミやらソーセージやらを食べながら楽しんでいたので、ワインのオファーは嬉しかった(笑) その後寝つけなかったこともあり、何やかんやいってあの小さいボトルを3本。1/4ボトルでも3本飲めば3/4である(笑)

P1010300眠れないと夜明けが待ち遠しい。帰りの便では12時間の飛行で時差がGMT +9の日本に戻るわけだから、機上の人間の正味の1時間あたり1時間45分の時間が過ぎていることになる。したがって夜が明けるのも早くすくわれる。シベリアも北の方を飛んでいると下は一面真っ白だが、日本に近づくと写真のように河だけが凍っている光景にお目にかかることができる。ここまで来ればあとは朝ごはんである(笑)。

P1010305朝ごはんは、フレッシュ・フルーツ、トマト風味のエッグロール カッセラーハム添え、フルーツ・ヨーグルト、モーニング・ロール。面白かったのは「エッグロール」で、とてもバターがきいているのになぜかくるっと巻いてある。ふつうにオムレツのようにして出せばと思うのだけれど。そうこういっている間にもう関空。

長いようで短かった今回の旅もこれで終了。帰国直後から予定その他がいっぱいで、日々の生活に押し流されるようにしてはや10日以上が経った。この記事を書き始めてからでさえすでに4日。思えば今回の旅は古いものに出会う旅だった。19世紀に建てられた街の真ん中のホテル。コンピュータの端末からリクエストすると自動的に到着する240年前の本。古いものが現代的な都会の中で現代的なものと同居しているという状況には、京都でもすっかりおなじみにはずなのだが、あらためてイギリスにおけるその不思議さを肌で感じた。日本では歴史は商品だ。それが京都の商品価値の大半を占めている。イギリスでは歴史はもっと威厳をもって、ただしひっそりと存在している。それはちょうど現実的な権力を持たない王室の存在と似ている。そしてその歴史を保存するために費やされる莫大な費用を想像するとき、この国はかつて七つの海を制覇した大英帝国であったと思い知るのだ。

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2006.03.09

拾伍日目

P1010255さて、いよいよ滞在も最終日。この日は昼頃から美術館に出かけた。行った先はテイト・ブリテン(Tate Britain)。昔でいう「テートギャラリー」のことだが、2000年にテイト・モダンがオープンしてからはテイト・ブリテンと呼ばれるようになった(ちなみにリヴァプールとセントアイヴズにもテイトがある)。今回の調査の対象である作家は、18世紀後半のゴシック・リヴァイヴァルの先駆けのような人なのだが、その時期の絵画の展覧会(タイトルは「Gothic Nightmares」)をやっているというのだから行かないわけにはいかない。フューズリの「悪夢」(日本では「夢魔」と訳されていた気もするが、現代は「The Nightmare」である。今回調査している小説の僕が持っている版の表紙もこの絵である)を現物で見れるだけでも行かなくては。展覧会は展覧会で楽しかったのだが、何よりびっくりしたのは道中の出来事。ウエストミンスターで地下鉄を降り、何(十?)年かぶりに国会議事堂(ちなみにこの建物も様式的にはゴシック・リヴァイヴァルである)、ウエストミンスター寺院を見ながら美術館まで歩いたのだが(けっして近くはないのだが)、何とウエストミンスター寺院の横で日本人の知りあいにばったり。彼女は僕の大学時代のずいぶん下の後輩なのだが、聞けば今はスウェーデンの大学に留学中で、たまたま休みを利用してヨーロッパに来た日本人の友人(これまた後輩である)とロンドンを観光中とのこと。彼女もびっくりしていたが僕もびっくり。

P1010256美術館を出てから軽く昼ごはん。そういえばまだ食べていなかったと思い、近くのパブでフィッシュ・アンド・チップスを食べる。けっこう量が多いから、晩ごはんにひびかないかと心配。そう、この日は晩ごはんの約束があったのだ。

P1010130いったんホテルに戻ってから、支度をし晩ごはんに。今日の約束の相手は、けっこう長いことロンドンに住んでいる日本人の友人(彼女もサークルの後輩だ)。ロンドンに来てから何冊かグルメ・ガイド的なものを買って読んでみたところ、どうやら僕のホテルの近所ではシャルロットストリートという通りが今ホット(笑)らしいということがわかった。ロンドンにはミシュランの三つ星が一つ、二つ星が数軒あるのだが、二つ星のうちの一軒もこの通り。幸い彼女と連絡がとれ、どこでごはん食べようかという話になったのだが、結局シャルロットストリートで合意。トッテナムコートロードの駅で待ち合わせる。

P1010328目をつけていた店の一つ、ミシュラン二つ星の「Pied à Terre」はさすがに予約していなかったので入れなかった。カードだけもらってバイバイ。さすが二つ星ともなるとカードも立派。それですぐ並びの「Elena's L'Etoile」に。ちょっと古くさい感じが嬉しい古典的なビストロである。僕は前菜にグリーン・アスパラガスのソース・オランデーズ、メインはスズキ。こちらに来て初めて焼魚(?)を食べた。ワインは作り手の名を忘れてしまったのだが、Chorey-les-Beauneの'03。しっかり果実味が出ていてなかなかいい。けっこう遅くまでつきあってもらい、たくさん飲んでたくさん話した。ホテルに戻り即ベッドへ。

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拾四日目

P1010234ゆるくスタートしたイギリス滞在も残すところ二日半程度。とくに用務先での仕事は、諸事情により今日14日目でほぼ最後になる。というわけで、ホテルで昨日の晩ごはんの残りを食べて朝から出勤。まずは昨日届いた資料に目を通し……と作業をしていると、館内の検索システムがダウンしたとの館内放送。職員の女の子が、検索用のPCの前に「Temporarily Out of Order」と書かれた紙をおいてまわっている。そうなると手元にある仕事が終わってしまえば何もできないので、しばらく休憩。外に出てタバコを吸った。表のピロティのようなところにはカフェがあり(寒いのだがテントの中は赤外線ランプ、というのかな、で簡単ではあるが暖房がされている)、彫刻などもおかれている。一つは僕が好きなアントニー・ゴームリーという人の作品なのだが、今回気に入ったのは、写真の「Newton」という作品。大英図書館のホームページにもちょこちょこ登場しているところをみると、今の新しい大英図書館のいわば「顔」的存在なのだと思うが、見ていてじつに愉快である。東京の西洋美術館で、あるいは深夜のNHKで、「考える人」に慣れ親しんだわれわれ日本人にとっては、ロダンのパロディーにも見えてくるような作品。ロダンの「考える人」は、(けっして悪い意味ではなく)まじめ一辺倒の作品だ。日本における《西洋》の意味、位置づけを考えてみれば、それが終戦の14年後に建てられた国立西洋美術館のいわばシンボル的作品となっているということも納得のいくところである。それに対してこのニュートン君、何か大まじめに作業をしているようではあるのだが、何をしているのかはいっこうにわからない。しかしその姿はコミカル名だけではなく、力強さすら感じさせる(僕は高校生のころに見た、メキシコ・ルネッサンスの展覧会を思いだした)。でもこの力強さも、ニュートンの肖像画を見たことのある人にとっては、そのあまりの違いから滑稽さを喚起する。ニュートン君よろしくまじめに考えてみようとするわれわれだが、すぐさま笑いのコードにはぐらかされてしまう。このユーモアのセンスこそイギリス的だとすごく思う。

P1010237その後、館内の検索用PCは相変わらず「Out of Order」だったが僕が持ちこんでいるPCから図書の請求ができるようになり、「最後の資料」数点を閲覧して帰途に。ここ数日は20:00の閉館ぎりぎりまで仕事をしていたのだが、この日は金曜日なので閉まるのが早い。久しぶりに明るい帰り道だったのだが、ふとみると自分のホテルが夕日に照らされてなかなかきれい。旅行も終わりと思うとこんな写真までついつい撮ってしまったりもして(笑)

P1010246夜は外に食事に出かけたのだが、通り道にワイン屋があったのを思い出し、B用におみやげを一本買った。このOddbinsという店はあちこちにあって、今ではネット通販もやっているらしい。日常飲みの値段からちょっといいワインまでそろっていてなかなか楽しい。

P1010248P1010249で、ごはんはどこに食べに行ったのかといえば、例の怪しげな和食のお店。「Koto」という名前なのだが、これも「古都」なのだか「琴」なのだか。この日のスタッフは東洋人が多かったのだが、日本人は誰もおらずみんな中国人。壁に貼ってあったメニューの写真、見えるかな? 以前も書いたが、これがけっこう高いのだ。しかし怪しげなセットを食べるのも悔しいし、気に入らなかったら他所に行こう(笑)と、日本流にお好みで。

060304_052650_Mところが食べてみるとなかなか美味しい。この日美味しかったのはサーモン。前回のスーパーのSushi Packとは違い、スモークサーモンではない(笑) ちょっと大味なのは仕方がないが、脂がのっていてなかなか。しかしここでもやはりワサビは別添え。結局10数貫ほど食べて、ビールも燗も飲み、味噌汁でしめる。味噌汁はおみおつけといった感じのシンプルな味噌汁でちょっとほっこり。

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2006.03.04

拾参日目

P101021313日目の昨日は、いつもどおり朝はホテルで仕事、昼すぎ、というかほとんど夕方ぐらいから用務先へ。用務先は月〜木は夜8時まで仕事ができるのだ。行きがけにサンドウィッチを買い、表のテラスのようなところで食べた。「Chicken Tikka Pitta」はなかなか味が濃く、ジャンキーな感じで美味しかった。8時ぎりぎりまで仕事をしホテルに戻った。

P1010219例によってスミノフ・アイスで喉を潤しつつ、帰りに買って帰ったチョリソーをつまみながら雑用をしているうちに10時を回ってしまったので、買い物に出かけ久しぶりにホテルで食事をした。ロンドンで食べることのできる晩飯はあと3回しかなかったというのに何てこったという想いから、いろいろ怪しげなものを買ってみた。

P1010226で何を買ってきたかというと、「Fire Roast Tomato & Red Pepper Pasta」(炙り焼きトマトと唐辛子のパスタ、パスタはこれ何ていうんだっけ、フジッリなんかよりもずっと大きいねじ巻き状のパスタ、£1.76)、「Traditionally Made Pork Sausages」(6本で454gってことは、1本75g!、£2.07)、「Brussels Pâté」(豚の脂とレバーのパテ、£1.45)。ソーセージ用に粒入りマスタードを探したが、どうしてもないのでマイユの「Dijon Originale」(1.01)。

P1010233P1010229問題はこれをホテルの部屋でどうやって食べるかなのだが、まずパスタ。これは洗面台にあつあつのお湯をはって、コーヒーカップに入れて温める。もちろんあつあつにはならないが、それでもスーパーの棚で冷蔵されていたものをそのまま食べるよりはぜんぜんマシ。ソーセージは焼き推奨だがもちろん焼けないのでボイル。パテはパンにのせて。今回よかったのはパテ。食感もなめらかでなめらかで味もよい。それに対して驚かずにはおれなかったのが、マイユのマスタード。ディジョン・マスタードといいながら何となく緑が買った色が気になっていたのだが、めちゃくちゃ辛い。おまけにあの心地よい酸味もない。こんなんディジョン・マスタードちゃうやん!、と誰しも思うであろう珍品。おいおいと思って裏を見ると、オーストラリア、イギリス、南アフリカへの輸出用の製品らしい。思いきりだまされました(笑)

P1010238こんなメニューなら、と思い買ったのが、Luois Jadot: Beaujolais-Villages Combe aux Jacques 2004。案の定パテにぴったり。ソーセージともわりとよく合うし(ソテーして粒入りマスタードだったらもっとぴったりだったのにね)、パスタとも悪くはない。

P1010224部屋ビールはOld Speckled Hen。これはエール。飲んだことはもちろんあるはずなのだがあまり印象に残らない、という不思議なビール。飲んでみて思ったのは、とても上手にできている。ニュー・カッスル・ブラウン・エールのようにパンチがあるわけでもないし(かといって頼りないという意味ではけっしてない)、キルケニーなどのようにくせがあるわけでもない。それで印象に残らないのかな、と。John Smith's Extra Smoothは翌日にキープ。

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2006.03.03

拾弐日目

P1010216昨日、12日目も午前はホテルで仕事。午後から用務先へ。今週に入ってからは、あたっている資料を厳選しコピーをとっている。厳選、というのは、古書なのでおいそれとコピーをとることはできない。カウンターに預けて、本を傷めないよう上方からスキャンするような形で(ということになっているというだけで、コピーの光景を見たわけではない)コピーをとってもらわないといけない。それにかかる料金が、一冊あたりの手数料が£1.40、さらに1ページあたりのコピー代が£1。厳選しなくてはいけない値段。それもできあがりは翌日。たしかに300年前の本を、普通にべろっと広げてコピーグラスにおいて……というわけにはいかないのは考えてみればあたりまえのころ。昨日あたりから頼んでいたものがぼちぼちできあがってきている。写真は今回のお目当ての小説の第二版(1765)。手前の水彩画(水墨画みたい..)は物語の舞台となるお城のモデルになった城かと思われる。この絵は本にあとから貼りつけてあり、絵の下には手書きの書きこみがあるのだが、この本自体が著者の書斎にあったものなので、どうやら書きこみも著者自身の手によるものらしい。誰が書いたにせよ、「240年前の人が書いた字」なんて見ることはめったにないことである。

P1010215図書館の閲覧室は、セキュリティー上上着を脱いで入ることが義務づけられているためか、蔵書の保護のためか、暖かく乾燥している。一仕事終えると喉が渇く。そこでビール、と生きたいところだが、ここ数日はスミノフ・アイスを飲んでいる。帰りにスミノフ・アイスを買いにスーパーによると、表でおっちゃんが『Big Issue』を売っていた。日本でもそのまま、『ビッグイッシュー』の名で最近売っているホームレス自助の雑誌である。その存在を知りつつ日本では未だに買ったことのない僕だが、本家をひとつ買ってみるかということで一冊。£1.40。おつりはいらないし、ぐらいのつもりで£1.50を差しだすと、おっちゃんサンキューといいつつ迷わずポケットにしまってたなあ(笑)

P1010201P1010197ホテルで一息ついてから、ホテルのすぐそばのイタリアンに晩ごはんに。数日前から、表の看板に「SPECIALS ..... Osso Bucco」とあるのが気になっていたのだ。オッソ・ブッコ。骨付きのすね肉の煮込みのことだが、イタリア語のこの名前が「骨の穴」を意味することはあまりに有名。ゼラチン状になった穴の中の髄(ほんとに髄なのかな)をちゅるっと食べるのが旨いのだが、狂牛病騒ぎのせいか日本では最近とんとお目にかからない。ならイギリスで、という感じ。ここはパスタを前菜として、というのもやってくれる(量が少なくなり値段も£4.50均一)になるので、ヴォンゴレ・ロッソも。どちらもそこそこ美味しいのだが、オッソ・ブッコのつけあわせのマッシュポテトにはまいった。大きくわりと深い皿がマッシュポテトで満たされその中央にオッソ・ブッコが浮かんでいるかのように鎮座しているのだ。すごい量(笑) 食後にグラッパを飲む。こちらに来てから初めてのハードリカー。ホテルに帰ってから、お腹いっぱいになった時用に買っておいたサン・ペレグリーニョを。

P1010203この日のもう一つの買い物。往きに免税品店で買って持ちこんだタバコがなくなったので(想定外、タバコを吸えない図書館で過ごす時間が長いからと思ったのが甘かった)、やむなく近所でタバコを買う。ご存じの方も多いと思うがイギリスはみるみるうちにタバコの値段が上がり、今や£5を超える値段。1箱1000円! Smoking Killsって、こんな高くちゃ死ねるほど吸えないよ!

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2006.03.02

拾壱日目

今回のロンドン滞在は現地に15泊16日(帰りの機中泊も数えて旅行会社風にいうと15泊17日ね)。11日目ってことは今日が終わると2/3が終わっちゃうってことです。やっぱり二週間なんてあっという間。やっと「用務先」との往復にも、用務先でのもろもろの手続きにも慣れたのに、あるいは最初は一人でレストランで晩飯食べてもなあと思っていたのが、気がついてみたら夜になるとそわそわするようになったというのに、もう終わりですかい!、みたいな(笑) ま、でも今回は「用務」の内容にも満足していて、また仕事をしに来たいなあと思う毎日。それに加えて、ぜんぜん知らない国ではないとはいえふだんとぜんぜん違う環境に一人で来て、たとえ二週間とはいえどっかり居座っているおかげでものもいろいろ考えられたり。日本が恋しくないわけではもちろんないのだけど(とはいえ、どこでもドアがあったとしても、ラーメン食べていつものバーに寄って朝にはロンドン帰るだろうな:笑)、なかなかそれなりに自分なりの時間を過ごしているわけであります。しかし今から憂鬱なのが帰りの飛行機。僕は元から落ち着きのない性分で、同じところに同じ姿勢でずっと座っているということがとんとできない。映画を観ている二時間だけでも、尻が痛くなる。そんなのしょうがないじゃない? いやそれがね(笑)、帰りは貯まってるマイルとキャンペーンを利用してビジネスにアップグレードするはずだったんですよ。それが15,000マイルでビジネスにアップグレードできるのは正規運賃(ぐらい高い運賃)だけなんだって。ロンドンについて数日目にそれを知り、未だに愕然としたままの状態。往きの12時間40分も、ふっ、帰りはビジネスだぜ、と思い我慢した僕としてはどこにも気持ちのもって行き場がない。トイレ我慢してやっとサービスエリアに着いたと思ったらトイレは閉鎖中、次のサービスエリアまでお預け、みたいな感じです。

P1010172さて、11日目の話。昨日はわりと遅くまで起きていたのに、今朝はなぜか早起き。日曜日に寝過ぎて崩れたリズムを修正しようと朝から仕事。朝晩の仕事は日本でやり残した仕事をこっちに持ってきているものなのですが、今日はやけにはかどる。昼になったら外でごはんを食べてそのまま「用務先」に行くつもりだったのだけど、せっかくなのでもうちょっとしようということで、近所でサンドウィッチを買ってホテルで食べ、もうちょっとだけ仕事。サンドウィッチはハムとチーズとレタスと「tangy crunchy sweet pickle」。この最後のがくせ者で、訳せば「ピリッとサクサク甘口ピクルス」ぐらいなんだけど、結局何だかわからなかった。イギリスのサンドウィッチは食べたそのときはわりとお腹いっぱいになるんだけど、あまりもたないのでそこがいい。そのとき腹一杯になっても晩ごはんはちゃんと食べれる、っていうことです。これで£1.59。でもせっかくなので、コールスロー(何だか塩味が薄い、£0.77)とロースト・ターキー(6枚入りで£1.64)も一緒に。ターキーは鶏ハムみたいなもんで、七面鳥の胸肉を整形して焼いたもの(整形しなきゃこんな丸いわけがない)。1mmぐらいのスライスなのでちょっとパサついてる感がある。

P1010195そんなわけで、午後はひとしきりホテルで仕事をしてから用務先へ。今日はこの「用務先」のことをちょっと書いてみようかと。わりと最初のころに写真を載せたのでお気づきの方もいらっしゃると思うのですが、僕の今回の用務先は「大英図書館」。本来の名前は「British Library」だからべつに「大英」と訳さなくてもいいような気もするんだけどね。日本でいえば国会図書館のようなものなんだけど、さすがにすごい。写真は入り口正面の、大型本ばかりを大きな書架にディスプレイしてあるもの。写真ではわかりにくいが、3フロアぶち抜きぐらいの高さ。ほとんどバベルの図書館。今回僕は18世紀後半(つまり日本でいえば江戸時代、文人でいえば本居宣長のころ)に出版されたとある小説の出版事情を調べに来てるんだけど、端末から本をリクエストすると、70分後には240年前に出版されたその小説の初版本がカウンターに届く。二世紀半近くも前の本が、その何十もの異なる版がまとまって収蔵されていて、それを手にとって読むことができるというのも驚きだし、それらへのアクセスがここまでシステマティックに行われているというのにもびっくり。ついでにいえば、そんな資料を僕のような外国人でも、こうこうこういう理由で見たいんですよと説明すれば見せてもらえるというところもびっくり。おまけに初版本は、著者自身の書斎から納本されたもので、本人のものと思われる覚え書きまで書き込まれていたり(!)。僕はこの一週間、そんな古書に囲まれて仕事をしています。

さて、それでは晩ごはん行ってみますか。

P1010178というわけで、晩ごはん行ってきました。今日は何となくフレンチ気分(というかイタリアンとインディアンばっかりだったので)。近くに一軒あるんだけど、大きなマーキーには「Restaurant Francaise」と書いてあるのに、前まで行ってメニューを見てみるとなぜかパスタまである。ロンドンでもやはり中途半端は禁物なので(ちなみに、ロンドンではイタリア料理店以外でパスタは食うな、というのはけっこう有名な話)、他を探す。そういえば一昨日WAGAMAMAに行く途中に一軒定食を出すフレンチがあったなと思いだして、そこへ。二品のコースで£14.90。安くはないがロンドンであれば美味しかったら文句はない値段だ。

P1010177今夜選んだのは、シェーヴルと焼き梨(Goat Cheese with Griddled Pears and Rocket)と、豚のフィレ肉、 ジャガイモ添え(Fillet Mignon of Pork with Boulangere Potatoes and Jerusalem Artichokes)。日本語の料理名と英語の料理名が違う? そうなのよ、これが。前菜にはどこ探してもルッコラなどないし、豚フィレにはジャガイモ以外には、にんじんとブロッコリーが添えられていた。ただ、Jerusalem artichokeというのは僕もちょっと勘違いしていたようで、いわゆるアーティチョークではないようだ。辞書を引くと「キクイモ」と書いてある。もしかしてブロッコリーのことなのかな? 何はともあれ前菜がよかった。皿の中央に焼き梨がおかれその上に半分とろけたシェーヴル。皿の余白にはちょっとだけ甘味のあるクリームっぽいソースが流されている。チョコレートっぽいソースもかかってデザートのような温かい前菜。シェーヴルの皮をつけたままというのは正直どうかと思ったが(笑)、ロンドンに来て11日目にしてようやくであった面白い料理。豚フィレは、うーん、フィレ・ミニョンと大げさに書くわりにはどうかなという感じ。固くてパサッとしているわりには血のにおいが残っていたりして不思議な感じ。肉質が違うということか。でもアメリカ産の豚フィレでももうちょっと柔らかいのにね。掃除の仕方が違うのか、フィレの芯の部分の周りにも肉が付いていたのが新鮮だった。この皿で美味しかったのはジャガイモ。薄切りを積み重ねて焼いてあるのだが、バターと塩気が適度に利いていて、シンプルな肉のソースにもあってじつによい。ワインはMaison Bouachon: Côtes-du-Rhône Les Rabassieres 2000。ローヌらしい荒っぽさを残しつつ落ち着きはじめ、というところか。やや平坦な気もするが悪くはない。今日もまたお腹いっぱい。

P1010174今日のビールはFoster's。外食をするようになってからは極力安いビール、安いワインを買うように心がけている(笑) このフォスターズ、オーストラリアのビールなのにイギリスでわりとよく見るよなと思っていたら、先日のMcEwan'sのScottish & Newcastle社がライセンス生産をしているらしい。部屋用ワインも買ってはあったが今日はお休み。また明日のお楽しみということで。

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