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2005.10.21

中華弁当のススメ

毎日ではないがときどき弁当を作ったりする。弁当には、傷みやすいものはダメだ、水気の多いものもダメ、冷えてもおいしいものがいい、などといろんな「約束事」が多いのだが、それが楽しい。将棋ばっかりやっていた人が碁を打ってみたり、チェス・プロブレムに挑戦してみたり、あるいはふだんは短歌を詠む人が俳句を詠んでみたり、あるいは歳をとったミュージシャンがなんでもない昔の曲をカヴァーしてみたり、というのも似たような楽しさなんじゃないかと想像する。いずれにしても弁当を作る楽しさは、少なくとも僕にとってはゲームの楽しさと通底するものだ。

ところが最近京都に遊びに来た母親と話をしていて、それはあながちそうでもない、ということに気がついた。僕は高校生だった三年間、毎昼母親の弁当を食べていたのだが、親不孝なことに、いざ自分が弁当を作ろうと思ったときに、そうだ、母親の作ってくれていたもの、と思っても何を食べさせてもらっていたのかちっとも思い出せない。何回思い出そうとしても、毎回思い出すのは牛肉のごぼう巻きだけ。その作り方を今回母親に聞いてみた。作り方自体はほとんど記憶から僕が想像したとおりで、しょうゆ味の味つけが下味として肉に最初からつけられていたということ以外は新しい発見はなかった。しかし、である。作ってみて驚いた。じつに簡単なのである(お母さん、ごめんなさい)。簡単というのは作り方が簡単、とかそういうことではない。僕が今まで作っていた弁当料理とは違って、ごぼう巻きをフライパンで調理している間に、「余裕」があるのだ。その間にごはんやすでにできあがっているものを弁当箱に詰めたり、といったことができるのだ。自分が作ることのできる料理をいかに弁当箱の中に詰めこむか、という「ゲーム」を楽しんできた僕にとっては、これは正直びっくりだった。「何々料理」といったものはおしなべてその地域の特質を反映した、歴史によって育まれる文化だと思うが、「弁当」もまた、作り手の事情と食べ手の歓びに配慮をしつつ、長い間かけて文化の中で成長してきた一つのジャンルなのだと得心した次第。

そんなわけで、「お母さんの作るようなお弁当」をオレも作ってみた、という単純な動機から出発した弁当レシピ探し(といっても我が母に聞いただけなのだが)が、意外な発見をもたらしてくれたわけである。でも今日のテーマは、「中華弁当ノススメ」。

中華料理は弁当にはもってこいだ。味がはっきりしているものが多いから冷めても旨い。下準備さえちゃんと前の晩にしておけば、調理時間自体は十分短い(慣れてしまえば、ハンバーグを焼くぐらいの時間で二品ぐらい作れてしまう)。下準備は同じでもぜんぜん違う料理が作れるから、手間を増やさずとも、前日の晩ごはんがそのまま翌日の弁当に、なんてこともない。これまで僕が弁当にしてきたものといえば、青椒(牛)肉絲、酢豚、海老のチリソース煮、麻婆豆腐、炒飯などなど。

CIMG1944そのなかでも今日は酢豚の話。酢豚好きには噛んでじゅわっと美味しいモモ派と、柔らかくてストレートに旨味が出ているロース派がいるが、弁当でも旨い、つまり冷めても旨いという点ではやっぱりロースだろう。下準備は、溶き卵、紹興酒、塩、胡椒を合わせたものに、食べやすい大きさに切った豚のロース肉を入れよくもんでおく。ここに片栗粉を足してよく混ぜ合わせ、それをそのまま翌朝揚げてもいいし、ここでは卵を省いて揚げるときに溶き卵と片栗粉をあわせた衣をつけてもいい。豚肉は、僕は安い輸入のロース肉をブロックで買って、厚めに切ったものに格子状に切り目を入れて一口大に切っているが、とんかつサイズにスライスしてあるものを食べやすい大きさに切ったものでも十分いけるだろう。あとは合わせ調味料を作っておく。僕は、ケチャップ、酢、砂糖、酒、水溶き片栗粉が2:2:2:1:1、あとは塩、醤油、中華スープの素少々ぐらいの割合。ここまでが前の晩の仕事。翌朝は油を火にかけ、温まる間にごはんを詰めて、野菜を切る。野菜は僕は玉ねぎ、ピーマン、椎茸。油が熱くなれば豚肉を投入。大きさ、包丁目を入れたかどうかにもよるが揚げすぎない方が美味しい。揚がる30秒ほど前に切った野菜を入れて油通しとする。油を切ったら合わせ調味料を鍋に入れ火を通す。片栗粉のとろみが出てきたら肉、野菜を鍋に戻し、じゃっじゃっとたれを絡ませたらできあがり。簡単でしょ?

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