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2005.08.17

さらにワイン:『神の雫』のこと

CIMG1084一昨日[15日]の夜は、この月末に結婚式を挙げる(入籍は棲んでもういっしょに暮らしているのだ)妹が、ダンナといっしょにうちに寄ってくれた。結婚祝いにもらったのだが家で二人では飲まないから、とワインをもってきてくれた。そうはいってもせっかく頂いたんだからいっしょに飲もうよとさっそく開ける。ワインは、Meo Camuset Freres et Soeurs: Cote de Nuits-Villages 2002。かのメオ・カミュゼのネゴシアンもの、という位置づけ(ですよね?)。裏側のラヴェルにはフランス語で、「これらのワインは、ドメーヌ・メオ・カミュゼの名声を確立したそれと同じ要請でもって丹念に作られている」と書かれているが(うーん、いまいちな訳ですね)、たしかにそこはかとなくポテンシャルを感じるワイン。2002年のものだが、まだまだ固く、これからどんどんその長所を開花させていくであろう一本。この日はついつい、前から飲んでるクロ・デュ・マルキの1997も飲み(三本買ったのに二週間もたなかった……)、最後は中華の大将K氏も合流し街へ。

その翌日、が昨日なのだが、家でごはんを食べたあと、だいぶ前に読んだ『神の雫』1〜2巻を読み直した。この二巻の中で、何度読み直してもかならず涙が流れるシーンが二つある。その一つは、世界的なワイン評論家であった神咲豊多香の息子であり主人公の神咲雫が、豊多香の死後、彼の屋敷に住む権利を賭けて、ライヴァル、遠峰一青とブラインド・テイスティングで対決する場面である。雫はテイスティングの途中でグラスを取り落とし(その理由は後に明らかになる)退席するが、その後で、遠峰が立ち会った弁護士、霧生にこのワインの正体を明かすシーンが圧巻だ(ブラインドはミステリー小説同様一つの「謎」である、だからここでこのワインの名を明かすことは控えよう)。霧生はこのワインを、「5大シャトーの……おそらくはポイヤック地区 '90年代から'00あたりの若いワインではないかと……」と考えた。カベルネ主体のワインであるという霧生の読みを正しいと認めつつ、また強いタンニンと酸味から若いワインで考えたことも無理もないと認めつつ、遠峰はこのワインをミレーの「晩鐘」に喩える。「わ わからなかった だって どうみても 色といい渋みといい」という霧生にようやく遠峰はこのワインの正体を明かす。

そういうヴィンテージが存在するんですよ。
22年の時を経て初めて固く閉じた蕾をようやく開きかけ
そしてまるで若者の旅立ちのときのような
みずみずしい高揚感を飲む者に与えてくれるグレート・ヴィンテージのワイン
この100年[より厳密には150年]のボルドーの歴史の中でただひとつだけ……[後略]

遠峰は人物造型という面からいえば、けっして読者が共感を覚えるような人物ではない。しかしそれでも彼のこのワインの描写には共感を覚えざるをえない。この数ページを読むたびにいつも、「このワイン」を一度でいいから是非とも飲んでみたいと思う気持ちを僕は禁じえない。

CIMG1088それで、何となく旨いワインが飲みたくなり夜中になってワインバーに出かけた。いつもブラインドで飲む店である。お盆だからと電話をかけて出かけたら、店に着くとブラインドのグラスがすでに用意されていた(笑) ピノであることはすぐわかった。ピノらしい果実味というよりはカシスのような(遠峰風にいえば「黒い果実」の)甘味を感じる。こりゃあ不思議だと思っていたら、正解はDomaine Jacques Prieure: Meursault 1998。ムルソーの赤! やられました。で、その後何ヶ月ぶりかという話だけど、メニューを見てボトルを注文。でも結局迷って、「完全に熟成していること、カシスやチョコのニュアンスが感じられること、できればハーブやスパイスのニュアンスもほしい」と注文したところ、6本のボトルが目の前に。結局、そのうちの一本、Grand Vin de Leoville du Marquis de Las Cases: Saint-Julien 1981を。これまでのラス・カーズの印象を覆すような一本。これまでのラス・カーズの印象といえば、古いものだとピークを過ぎてかすかな上品さを漂わせているか、若い者だと分厚いタンニンをかきわけ旨味をがんばって探さなくてはいけないようなスタイルだったが、この1981はそのどちらでもない。手放しで(それこそ酔っぱらっていても)こころからおいしいと思えるような一本である。このラス・カーズはラス・カーズでもちろん美味しかったのだが、おみやげにラトゥールの畑から来た石をもらった。それが何となく嬉しくて(笑)

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