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2005.08.31

回転寿司の話:元祖廻る元禄寿司高槻店に行った

寿司は僕の好物の一つである。寿司を食べるときはかならず、日本人に生まれて本当によかったと思う。僕の父親は外食が嫌いな人で(母親の説明によればそれは、仕事上外食をしなくてはいけない状況が多いから、ということだった)、小さいころの僕は外食というものとかなり縁遠い生活を送っていた(そう、すべては「反動」なのだ)。だから寿司といえば、桶に入っていてお寿司屋さんが家に届けてくれるもの、だった。もちろん何もない日に寿司の出前が注文されることはなく、寿司を食べることができるのはお客さんが来たときだけに限られていた。ふつうは並、大事なお客さんのときは上にぎり。このころから人間の値打ちを「並」、「上」と値踏みする悪癖が身についた(笑) 当時から僕の好物は鮪。母親はいつも僕が苦手な烏賊と自分の鮪とを交換してくれた。僕はこれを母の優しさと思い育ったが、30を過ぎたある時、母親がたんに赤身が嫌いなだけだったと知ったときはショックだった(笑)。思えば歪んだ幼年時代である。

中学生になり品川に住んでいる伯母のところに出かけた。「あんた、何食べたいのよ?」と下町言葉で尋ねられ、僕は迷わず「寿司!」と答えた。そして生まれて初めて寿司屋のカウンターに座った。例の桶が見あたらないので不審そうにきょろきょろしていると、「あんた、何でも好きなもん頼んでいいのよ」と伯母が言う。

え、え、え、え、え、す、好きなものって、ま、鮪!、とか、い、いっちゃって、い、いいんですか? 

職人さんに直接自分の食べたいネタを伝える、ということにきっとすごい緊張感を覚えたのだろう。何を食べたかはちっとも記憶に残っていないが、きっと鮪を腹一杯食べさせてもらったのだろう。大人になったら一人で寿司屋に行こう、そう思いながら伯母の家に帰った。

そういう意味での「大人」になったのは、大学に入学し京都に来たときだろうか。京都での生活に少し慣れてきたある日、そうだ!、寿司屋に行かねば!、と思いだしだ。こちらに来て知りあった悪友のUを誘い、寺町通の回転寿司に行った。回転寿司に行ったのはこれが生まれて初めてだったと思う。

悪友のUとは何年前か、毎週ある曜日にきまって寿司ランチをしていた年があった。いつも行っていたのは大丸の別館に入っている「寿司清」。ここのランチタイムが終わってしまったときは、しょうがないのでそのあたりの回転寿司に行っていた。ある日10年以上前に行った寺町通の回転寿司に行くと……それはそれは不味かった。おまけに職人が、廻っている間に乾いたネタに目の前でぴたぴたと水をつけている。何となく淋しい気がした。

前置きがえらい長くなってしまったが、昨日はお世話になっているある人とランチの約束。高槻の元禄寿司に行った。元禄寿司の名が「元祖廻る」元禄寿司なのは、布施(東大阪市)にある元禄寿司の本店こそが日本で初めての回転寿司店であるからだ(回転寿司の歴史はたとえばこちら)。回転寿司で面白いのは人が美味しいよとすすめてくれる店に行くとがっかりすることが多く、逆に人に美味しいよと勧めた店は、ふつうやん、といわれてしまうことが多い、ということ。ようは期待したら不味い、期待していないと旨い、というのが回転寿司なのだと思う。期待していた人は食べて美味しくなかったネタを思いだし「不味い店」だというが、期待していなかった人は食べてみて美味しかったネタを思いだし「旨い店」というのだろう。あと自分の好きなネタに固執するのも禁物。どのネタを食べても旨い回転寿司などたぶんないのだから、その店で自分の好きなネタが旨いとは限らない。鮪が好きだからと期待して食べた鮪は不味かった、そんなとき僕たちはついつい「あそこの店は……」みたいなことを口にしてしまう。自分の好き嫌いもいったんは括弧に入れて、今目の前にある「美味しそうに見える皿」に的を絞るのがいいんじゃないかと思う。

それでいくと昨日美味しそうに見えたのは、サーモン、中とろ、いか、アオリイカ。これらはどれも「あたり」だった。なかでもサーモンは絶品だった。

後ろのテーブル席には家族連れが座っていた。小学生ぐらいの女の子が、職人さんに向かって堂々と、「すみません、数の子ください!」とやっている。「さび抜き?」と聞かれ数の子はさび抜きで食べたようだが、物足りなかったのか、今度は「いくらをわさびありでください!」。なんだかとっても頼もしい気がした。

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