« 一神堂【河原町丸太町下がる西側】 | トップページ | 中華そばの店 ちいふ【押小路小川通西入る南側】 »

2005.06.14

食べ方の自由とお店の主張

今日はあまりいい話ではないので、お店の名は非公開。とはいってもまだコメント0、トラックバック0なのであまり関係ないですが(笑)

今日もラーメン、行きました。いわゆる「背脂チャッチャ系」のラーメンが食べられるお店で最近できたとこ。いちおう解説しておくと(昨日も某所でWスープの話をしていたら、Wスープって何?、といわれてしまったので:笑)、「背脂チャッチャ系」というのは、銀閣寺ラーメンこと、「ますたに」に起源をもつとされる、スープに背脂が浮かんだラーメンのこと。「チャッチャ」というのはたぶん、背脂の入ったスープを網でこしつつどんぶりに入れ、網の縁ををこんこんとたたいたり、網を上下にふったりして網に引っかかった背脂をどんぶりに落としいれる所作に由来すると思われる(違っていたら教えてね)。じゃあ背脂をチャッチャといれたスープが全部「背脂チャッチャ系」かといわれるとこれは若干微妙で、どちらかといえば本家の「ますたに」に近いスタイルのラーメン、京都でいえば「ますたに」の暖簾分けといわれる「ほそかわ」(行ったことないけど行きたい!、という人がいたら、ぜひとも西小路花屋町の本店に!)、「ますたに」同様鶏ガラ100%に背脂の「珍遊」(僕にとっては「ほそかわ」本店と並んで好きな店、こちらも一乗寺の本店がおすすめ)などが代表格か。背脂チャッチャそれ自体についてはまたいつか書くとして、今日の話に関係のあることだけ書くと、「背脂チャッチャ系ラーメンには酢がよく合う」という定説がある。

僕がそれを「定説」だというのは、あちこちで耳にする話、目にする光景だし、実際それをやってみると旨い、というただそれだけの意味においてだ。あちこちで耳にする、というのは、今ではラーメン本にまでそんなことが書いてあったりするぐらいだし、今日行った店でも、「味を三度楽しむ」には胡椒をふって、粉唐辛子を入れて、酢を回しいれるとよいとカウンターの貼り紙に書いてあった。ところが、である。出てきたラーメンにはすでに唐辛子も酢も入っていたのである。

正直にいうと、じつはこの店のラーメンは酢が入った状態で出てくることは、某先達氏のサイトで読んで知っていた。しかし酢の入ったスープを一口すすった瞬間、僕は違和感を感じざるをえなかった。なぜか。

酢の入っていないヴァージョンと酢の入っているヴァージョンと、両方試してみたかった(ふつう僕は麺が残り1/3ぐらいになったところで酢を入れる)というのはもちろんあるが、それはひとまずおいておこう。問題は複雑だ(そうでもないか)。僕は「背脂チャッチャ系には酢がよく合う」というテーゼを「定説」として信じているのだから、「選択の自由がほしかった」ということにはならない。それに、同じように最初から入っていた「唐辛子」については何も異論はないのだから、やはり「選択の自由」が問題だと考えるのは不自然だ。そもそも「選択の自由」という概念は幻想でしかない。例えば麺の種類や茹で方、あるいは叉焼をはじめとしてトッピングなどを自由に選べる店があったりするが、どれもこれもどうしますか?、と尋ねられると、オタクはどれが旨いと思ってんねん!、と苛立ちを感じることもある。所詮僕たちは、美味いものを勧めてもらいたい、その上でどう転んでも不味くはならないいくつかの選択肢の間で、ちょっとだけ「選択の自由」を楽しみたい、と思っているにすぎないのだ。

同じように「定説的」には「合う」と思っていて、実際すんなり受けいれられた唐辛子はどうだろう。唐辛子にしても「選択の自由」が存在したっていいはずだ。でもそうだと思わないとすれば、これは食べ手が選択するものではなく、唐辛子の入った状態で食べてねというお店の「選択」を受けいれようと思ってしまう何かがあるのだろう。ある意味、他の調味料や麺の種類云々と同じで、それをお店の「スタイル」として受けいれているのである。

唐辛子は「お店の主張」として受けいれられるのに、おいしいはずの酢は「選択の自由」を以上の理由で受けいれられなかった──その原因は、最初から酢の入ったスープが思ったほど、つまり「背脂チャッチャ系には酢がよく合う」という定説が保証するほどおいしくはなかったということを意味しているに他ならない(こんだけ引っぱったわりには貧弱な結論だな、我ながら)。この秘密は、ラーメンの継時変化にあると僕は睨んでいる。だんだんギャグ線になってきたところで今日はお開き。また明日。

|

« 一神堂【河原町丸太町下がる西側】 | トップページ | 中華そばの店 ちいふ【押小路小川通西入る南側】 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/113521/4555853

この記事へのトラックバック一覧です: 食べ方の自由とお店の主張:

« 一神堂【河原町丸太町下がる西側】 | トップページ | 中華そばの店 ちいふ【押小路小川通西入る南側】 »