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2005.06.11

Wスープのこと:志七そば吉田屋【東大路今出川東入る北側】

京大の農学部の近くに今年2005年の4月にオープンしたお店。志七そば〔¥600〕を食べてみる。

豚骨、丸鶏を使った動物系×和風スープの、いわゆるWスープの志七そばは、いかにも和風といったどんぶりで登場。真ん中には細長に刻んだ白ネギがうずたかく盛られ、そのまわりには青葱が散らしてある。非常に美しく、それだけでも丁寧なお仕事ぶりがうかがえる。スープは若干にごっているのだが、それだけにコク、旨味も十分、じつにいい。 麺は細手のストレート麺。スープにはとても合っているだけにいくぶん腰が弱すぎる感があるのは残念。これはまったく個人的な好みだけれど、縮れ麺の方がいいかもしれないと少しだけ思った。細切りのメンマもいいし、海苔を添えるにしても盛られた白ネギとどんぶりの縁に海苔を渡すように盛りつけ、海苔が直接スープにつからないようにするなどの配慮もいい。ご存じのようにスープの中に海苔をほったらかしにしておくと、スープ自体の風味がだいぶ変わってしまうものだ。

で、Wスープのことを少しだけ考えてみた。Wスープが流行りだしたのはまず東京、ついで大阪だと思うのだが、京都にもその波は確実にやってきた。きちんと数えてみたわけではないが、比較的最近オープンした店でWスープが占める割合はけっこう大きいような気がする。鶏や豚をベースにした動物系のスープに、魚介系の和風だしをあわせたものを総称してWスープといっているわけだが(魚は動物ちゃうんか、とか、昆布は魚介ちゃうやろ、という話はおいておいて)、当然ながらいろんな種類がありますよね。三週間ほど前に東京に行った折には、ガイドブックを見て、僕が用事で訪れたエリアにあるお店の中では一番大きく載っていた二店に行ってみたのだが(ちょっと恥ずかしいね、これ:笑)、どちらもかなり濃厚なWスープのラーメンだった(高田馬場、「俺の空」と「渡なべ」)。京都でいえば「きゃら」のスタイルに近いだろうか。その一方で、先日このブログでも書いた「らぁめんつづら」や、大阪からの出店だが拉麺小路の「上方ざんまい屋」、あるいは堺町竹屋町の「麺屋○竹」(ただし僕が最後に行ってからいくらかスタイルが変わったようである)などのように澄んだ動物系スープに和風だしをあわせたものもある。今回の吉田屋さんのはその中間。ある意味で新しい試みといえるかもしれない。もっというと、動物系スープと和風スープのバランスもWスープのキャラクターを決める大きな要素だ。僕は個人的には一口すすると鶏、次の一口は鰹、みたいにどちらともつかないバランスこそがWスープの魅力だと思う。その意味でも吉田屋さんのWスープはじつに楽しいスープだった。

さっきWスープの「濃さ」のことを書いたが、濃いめのWスープのラーメンを食べたときにいつも不思議に思うことが一つある。あの独特の「苦み」である。焦げた食べ物に感じるような種類のあの苦み。ときには、真っ黒に焦げてしまった焼き魚の背びれを食べたときのように、苦みとともに酸味すら感じることがある。あれはいったい何なのだろう。もちろん小魚のワタが取れていない、とかそんな初歩的な問題ではないだろう。鰹だしを煮詰めるとああいう風味が出るのか? 煮干しをゴンゴン炊いたらそうなるのか? いずれにしても濃い動物系のスープと拮抗できるぐらい濃い和風スープを作り上げていくさいの副産物なのだと思うが、僕は正直あまり好きではない。そんなことをいうと、Wスープのラーメンを食べる資格がないとか、あれこそWスープの魅力ではないかと仰る方もいらっしゃるだろうが、残念ながらあの風味を旨いと表現する境地には、僕はまだ達していない。吉田屋さんのスープもその点は少しだけ残念な思いがした。

最後にもう一つ。Wスープのラーメンを食べるとき、嫌でも考えてしまうのが同系の違ったスープ(例えばあっさりにWスープだったらうどんだしのことを思いうかべてしまう)である。どれだけ鰹がきいていようが昆布がきいていようがラーメンスープはラーメンスープ、無論そうなのだが、Wスープに鰹や昆布、煮干しの風味を感じる瞬間には、無意識のうちに和食のスープのことが頭をよぎる。これはもう本当に個人的な好みの話になってしまうのだが(いや、ここまでもそうだった:笑)、和風だしにはみりんや砂糖の甘味がじつによく合う。それはWスープとて(とくにあっさりしたものであれば)同じだと思う。あっさりのWスープであれば、ほのかに甘味を感じることのできるWスープが僕は好きだ。吉田屋さんのWスープももうほんのわずか甘味があれば違った色気が出てくるのにと僕は思ってしまった。

吉田屋さんでのおいしかった体験を書いているつもりが、ついつい身勝手な注文まで書いてしまったが、本当においしかったし、この先目のはなせない一店でもある。今後にますます期待、である。

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