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2005.06.10

「京都ラーメン四天王」の話:大栄【烏丸椥之辻西入る南側】

僕は京都に来てほんの15年ちょっと。僕なんかが京都に来るよりずっと前のことだが、京都には「ラーメン四天王」といういい方があったそうな。

京都が長い人はもちろんそんなことご存じかもしれないし、そうでない京都在住の人も、店の名を聞けば、ああ、あの店という店ばかりである。いにしへより伝わる京都のラーメン四天王とは、新福菜館、第一旭、ラーメン藤、そして大栄である。第一旭、ラーメン藤は京都を中心にFC展開、また新福はラーメン博物館にも出店していたし最近コンビニで新福監修のカップ麺というのを見かけた。京都市内の繁華街に支店がないぶん、ラーメン藤は若干知名度では負けているかもしれないが、これら三店はどれも、四天王時代以来順調な成長を遂げているといえるのだろう。それに比べると大栄がたどった歴史はいくらか数奇なものだった。今日僕が行った大栄は大栄の創業者から店を譲られた新オーナーが営む大栄なのである。元々のオーナーがふたたび「大栄」の看板を掲げた伏見の「本家大栄」は今はもうないそうである。河原町丸太町の「本家大栄」の出自は僕にはわからない。

四天王系のラーメンには明らかな共通点がある。
 (1) 麺はもちろん近藤製麺、中細ストレート麺、
 (2) スープは鶏ガラ+豚骨、豚骨のみ、豚肉のみなどベースはさまざまでも、どれもコクがあってもさらっとしているというタイプ、
 (3) 叉焼、モヤシ、青葱が基本アイテムでどれも多め、
 (4) 叉焼の味付けは濃すぎず薄すぎず、肉の旨味がしっかりと感じられる、
 (5) 辛子味噌がよく合う、
などがそれだ。そしてこれらはたがいに密接に関係しあうことによって一つのスタイルを形成している。例えばラーメン藤では豚肉でスープを取るから、スープを取るためにも豚肉はたくさん必要、だから叉焼が多くなる(新福もスープで叉焼を煮ていたのでは)。それじゃあこれをおかずに麺を食べようかということで、味付けは肉の旨味が感じられる味付けに、そして麺は食べ応えのある麺になる。「麺をおいしいスープでちゅるっと食べること」に主眼がおかれていないから、縮れ麺である必要もない。四天王のラーメンを食べることは、たっぷりの叉焼をおかずに麺をむしゃむしゃ食べるということを意味すると僕は思う。モヤシという野菜までついて、もはやこれは一品の料理というよりは、これ自体が一回分のごはん、一つの「膳」として完結している(だから量も十分お腹いっぱいになる量なのだと思う)。これらの特徴は、麺はこれ、叉焼はこれ、と恣意的に選ばれたものではなく、たがいに有機的に結びついていて、それ自体がおのずと「おいしい食べ方」を僕たちに教えてくれている。その意味で「スタイル」であると僕は思う。歴史がはぐくんだ一つの「スタイル」なのだ。

さて、そんなわけで昨日は大栄に行ってみた。さすがは四天王の末裔、見事な叉焼おかず系醤油ラーメンだった。これでもかとのせられた叉焼の旨味はおかずとして申し分なく、また麺も時間が経つほどにスープを吸いこみ「主食」の役割を果たしている。そして何せスープが旨い。若干腹一杯になりすぎたが(笑)、至福の一時だった。四天王恐るべし、である。

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